コラム
2024.11.21 実家売却で後悔する4つの理由とは?取るべきおすすめの対策も解説
親の他界後、実家売却を考える方は多いのではないでしょうか。
いざ売却しようとすると、思い入れや実家がなくなる寂しさから、後悔するのではないかと不安になりますよね。大切な実家だからこそ、売却の際に後悔したくないのは自然なことです。
この記事では、新潟市中央区の竹鼻不動産事務所が、実家売却で後悔しやすいおもな理由や対処法を紹介します。
実家を売却しないことによるリスクについても理解したうえで、後悔しない判断をできるようにしましょう。
実家売却で後悔するおもな理由4選
多くの人にとって、実家は数々の思い出が詰まった場所です。
思い入れがあり失うこと自体が寂しいのはもちろん、大切な場所の売却に失敗すると大きな後悔を感じる可能性があります。
実家の売却で後悔につながりやすい理由は、以下の4つがあげられます。
- 愛着がある実家を失う喪失感
- 親や家族への罪悪感
- 相場より低価格での売却
- 各種費用の負担
実家を売却するなら、まずはどのような理由が後悔につながるのか知りましょう。
愛着がある家を失う喪失感
実家は私たちの人生に深い思い出を刻み込んでいます。日々の生活や思い出、家族や友人との記憶が詰まった場所のため、愛着があるのは当然ですよね。
特に、幼少期から長く実家で過ごした場合、寂しさやつらさは顕著に現れます。家の壁や家具ひとつひとつに思い出が宿っているため、手放すことで過去を失うような感覚になる方もいるでしょう。
建物だけではなく、思い出や日常が失われることに対する寂しさによって喪失感が引き起こされます。
親や家族への罪悪感
実家は親や家族と長年過ごした大切な場所です。
「売却によって家族の記憶を軽くしてしまうのではないか」
「親を悲しませてしまうのではないか」
このような思いから、実家を売却する行為が心理的負担になる可能性があります。実家を引き継げない事実が親不孝にあたるのではと悩む方もいますよね。
親が努力して家を建て守っていた場合は、親の思いや労力に対して罪悪感を覚えるようです。
家族のために頑張ってくれた親への感謝が強い方は、売却を後ろめたく感じるケースがあります。
相場より低価格での売却
実家が空き家になる場合、維持管理に手間がかかるため、売却を急ぐケースがあるでしょう。
市場状況や物件の価値をよく理解せず売却すると、適正価格より低い金額での売却になりかねません。
管理の難しさや金銭的な理由から、売却手続きを急いで進めた結果、よい条件での売却を逃す場合があります。実家の価値や買主の需要を考慮せずに交渉を進めた結果、損失を被るケースも少なくありません。
そもそもの物件の評価額が低く設定されると、売却価格は下がります。結果、実家を納得のいく価格で売却できず後悔してしまいます。
各種費用の負担
実家の売却にはおもに以下の費用がかかります。
税金 | 譲渡所得税・印紙税・固定資産税など |
仲介手数料 | 不動産を売却する際の不動産業者へ支払う手数料 |
司法書士報酬 | 登記申請などを司法書士へ依頼した際に発生する報酬 |
解体費用 | 実家を解体する際にかかる費用 |
リフォーム費用 | 設備の交換や修繕などの費用 |
税金や不動産会社、司法書士に支払う報酬に加え、場合によっては実家の解体費用やリフォーム費用などがかかります。
税金の種類は譲渡所得税・印紙税・固定資産税などさまざま。税金の知識が不十分な状態で売却すると、本来受けられる控除を見落とす可能性があります。
実家を売却する際にかかる不動産仲介費用や、登記申請を司法書士に依頼した場合にかかる報酬は必須の費用と理解しておきましょう。
また、実家を売却すると決めたものの、そのままの状態では売却できないとなった場合、解体工事の検討が必要です。木造建築物であれば1坪50,000〜60,000円程度の費用で解体工事を依頼可能です。
ただし、以下のケースでは解体費用が高額になる可能性も。
- 立派な庭がある
- 建物にアスベストが含まれている
- 前面道路がせまい
- 駐車スペースがなく、人力解体を要する
実家の売却を検討した段階で、税金や売却にかかる費用について少しずつ知識を深めることで、後悔する事態を防げるでしょう。
実家を売却しないで所持し続けるリスク4つ
後悔するからと実家を売却せずに所有したままにすると、別のリスクが発生します。ここからは、実家を売却しないリスクを紹介します。
- 自分で管理する必要
- 維持費がかかる
- 修繕や災害対策が必要
- 空き巣など犯罪に巻き込まれる可能性
それぞれ詳しく見ていきましょう。
自分で管理する必要
実家に誰も住まない場合、管理のために誰かが定期的に通う必要が出てきます。
建物は人の往来がなくなり通気性が悪くなると、雨漏りやカビの発生、基礎部分の腐食などが生じる可能性があります。築年数が長い建物は、主要構造材に木材を使用している場合が多く、木材を食べてしまうシロアリ被害にあう可能性は捨てきれません。
このような被害を防ぐために、定期的な訪問と点検が必要となります。
自分だけで管理する場合は体力的・時間的にも負担が大きく、自身の生活に影響を与える可能性を考えなければなりません。
防犯カメラの設置や管理業者のサービスを利用する方法もありますが、相応の費用が発生します。なお、屋外用防犯カメラの設置には150,000~250,000円、管理業者への依頼には月額5,000~15,000円程度かかります。
維持費がかかる
実家の管理にもつながりますが、建物や設備の維持修繕費が必要です。
建物や設備が劣化してくると大規模な修繕工事やリフォームが必要になる可能性があります。庭木の刈り込みや屋根の修理、外壁メンテナンスなど、修繕費は数万円から数十万円かかります。
また、遠方に住んでいる人であれば、交通費も無視できない費用負担になるでしょう。
老朽化が進むと建物の価値は下がっていき、売却価格は落ちる傾向にあります。あとになって、売却しても維持費の回収ができない可能性もあるため、注意が必要です。
ほかにも、不動産を所有する限り固定資産税がかかり続けるなど、所有期間が長いほど維持費はかさみます。
災害対策が必要
災害による、建物の破損や倒壊などの危険性を考えなければなりません。
実家が古い家の場合、現行の耐震強度の条件を満たしておらず、地震発生時に多大な被害を起こす可能性があります。
万が一、倒壊してしまった場合は、修繕や解体が必要です。実家が遠方にある場合はすぐに対応できないため、近隣住民に多大な迷惑をかけてしまうかもしれません。
倒壊までいかずとも、台風の強風や突風によって屋根の瓦が飛んでしまうおそれも。
最悪の場合、損害賠償に発展する危険性があるため、実家の災害対策は必須です。
空き巣や放火など犯罪に巻き込まれる可能性
空き家であれば不法侵入や放火の被害に遭う可能性が高く、危険です。
実家管理のために定期的に訪れるといっても、常に住んでいるわけではありません。空き家であると露見した場合、親の残した貴重品や家具などが盗まれる可能性もあります。
また、悪質ないたずらで放火に巻き込まれると、近隣へ大きな被害をもたらします。
定期的な訪問やセキュリティ会社の利用なども対策としてあげられますが、犯罪に巻き込まれる可能性は払拭できません。
実家売却で後悔しないための対策6選
実家を売却する決断は、多くの家族にとって重要な転機となります。売却による後悔や、売却しないリスクを理解したうえで、適切な対策を取りましょう。
ここからは、実家売却にあたって後悔しないための対策を6つ紹介します。
- 家族で相続について話し合う
- 実家の清掃をする
- 売却の流れを理解する
- 税金・税金控除の知識を身につける
- 複数の不動産会社に査定を依頼する
- 実績が豊富な不動産会社を選択する
手間や費用がかかる方法もありますが、実家売却で後悔しないために、どれも重要なものばかりです。
それでは、具体的な内容を見ていきましょう。
家族で相続について話し合う
実家売却で後悔する原因に、不十分な家族間の意思疎通があげられます。
実家の相続や売却はデリケートな問題です。相談を後回しにしてしまいますが、いざ相続となった際にトラブルにならないよう、早めの話し合いが重要です。
可能であれば、親が存命のうちに家族全員で相談を重ね、相続内容を明確にしましょう。
売却の是非だけでなく、売却方法や時期、計画について家族全員の共有が必要です。仮に売却方法や売却額など、誰にも相談せず特定の一人が売却手続きを進めると、トラブルに発展する可能性が高まります。
親が大切に守ってきた実家です。相続後の処遇や親の意向などを共有し、全員が納得できる解決策を見つけましょう。
実家の清掃をする
実家売却の準備には美しい見た目が重要です。
きれいに掃除された物件は購入希望者に好印象を与え、スムーズに売却に移れる可能性が高まるでしょう。たとえば、整理整頓しておくだけでも、家の中がすっきり広く見えます。
また、物件価値の向上や売却価格によい影響を及ぼします。
反対に、物件が不衛生な状態だと印象は悪くなり、物件価値が低下する可能性があります。
購入希望者による内覧の際に、清掃がされていない状態では、魅力的な物件には思えません。結果、売却の機会を逃してしまいます。
とはいえ、古い家であれば壊れている壁や取れない汚れなどがあるでしょう。購入希望者から修繕費用を請求される可能性があるため、清掃だけでなくリフォーム工事などもご検討ください。
売却の流れを理解する
実家売却は多くの場合、相続前か相続後どちらかのタイミングで行います。
相続前の売却は、実家の所有者である親が主体となって行うため、一般的な不動産売却と変わりません。一方、相続後の売却に関しては、相続前の売却手続きにプラスしていくつかの手順が加わります。
- 相続登記(名義変更)を行う
- 遺品整理(実家を片付ける)
- 必要書類の準備
- 査定を依頼
- 訪問査定を受ける
- 仲介業者と媒介契約を結ぶ
- 販売活動を始める
- 売買契約を結ぶ
- 引き渡し
上記の手順は、不動産仲介を利用して売却するケースです。不動産業者が直接物件を購入する買取であれば、手順を減らし短期間で売却できます。
また、相続後の不動産売却において「親が購入した際の契約書や建物図面を見つけられず困る」というケースが多々あります。
実家売却に限らず、どのような場面でも、元々の書類はあるに越したことはありません。可能であれば親が存命のうちに契約書などの所在を確認しましょう。
税金・税金控除の知識を身につける
実家の売却には、さまざまな税金が発生します。どの程度税金が課せられ、どのような税金控除を利用できるか理解を深めましょう。
実家の相続や売却、所有にかかる税金は以下のとおりです。
印紙税 | 実家の売買契約時の契約書に貼る印紙代。 |
登録免許税 | 実家の所有権を移転する際に課税される税金。 |
譲渡所得税 | 実家の売却時に譲渡所得が発生した場合に課税される税金。
収入金額から、取得費と譲渡費用などを差し引いた金額が、譲渡所得とみなされ、利益があると課税される。 |
相続税 | 実家を相続した際にかかる税金。
相続した資産の価値に応じて税率が異なる。 ただし、非課税枠が設けられているため、一定金額までは課税されない。 |
固定資産税 | 毎年1月1日時点で所有している不動産に発生する税金。
実家の売却ができるまで永続的に発生する。売却が長期化すればするほど負担は増える。 |
加えて、実家の売却にはさまざまな税制上の優遇措置が存在します。不動産売却に関連する税金控除は複雑ですが、適切に理解し活用すると、節税効果を最大限に引き出せます。
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 | 譲渡所得 | 被相続人(親)が1人暮らしをしており、相続後に空き家となった場合に利用可能。
最大3,000万円の特別控除を受けられる。 |
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例 | 譲渡所得 | 相続した資産を一定期間内に譲渡した場合、通常の取得費に加えて相続税額の一部を取得費として加算可能。 |
小規模宅地等の特例 | 相続税 | 居住用または事業用として使用していた不動産の一定の面積まで相続税を減額可能。 |
節税につながる特例・控除はそれぞれに適用条件があります。条件を満たしている場合、積極的に活用しましょう。
複数の不動産会社に査定を依頼する
ひとつの不動産会社に査定依頼しても、適正価格かどうか判断できないため複数社に依頼するようにしましょう。
ひとつの不動産会社に依存すると、物件を過小評価して低い価格での売り出しや、適切なサービスや条件を見逃す可能性があります。反対に、高く評価しすぎて買い手が見つからず、売却期間が長引くリスクも考えられます。
複数の不動産会社から査定を受けると、物件の市場価値をより正確に把握できるでしょう。手間はかかりますが、適切な価格設定が可能です。
比較する不動産会社は2~3社が理想的です。サービスや販売条件を比較しながら、実家の売却に最適な不動産会社を選べます。
実績が豊富な不動産会社を選択する
不動産会社は大手企業から、地元に根ざした会社まで数多くの種類があります。そのため、不動産会社ごとに得意な地域や物件の確認をしましょう。
特定の物件や地域に精通した不動産会社は、その分野における専門知識と経験を持っているため、物件の魅力を最大限に引き出せます。
選ぶ際は、不動産会社の特徴や条件を踏まえたうえで実績に着目しましょう。
実績豊富な不動産会社に依頼すると、売却期間が長引かず、満足いく売却額で売れる可能性が高くなります。
また、特定地域や物件に特化した不動産会社は、独自の買主ネットワークを持っている可能性が高く、スムーズな売却に期待できます。
まとめ
実家には、親や家族との思い出や感情的な価値が詰まっています。売却して失うこと自体が寂しいのはもちろん、手放すことに後悔を感じる可能性があるでしょう。
竹鼻不動産事務所では、実家売却の相談から査定、必要であれば解体工事の見積もりも無料で取ることも可能です。大切な場所の売却だからこそ、専門家や業者を上手に活用して、後悔が少ない実家の売却方法を選択しましょう。