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2024.12.31 やってはいけない実家の後始末6選!処理方法と対策を解説

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やってはいけない実家の後始末6選!処理方法と対策を解説

両親亡き後、実家の後始末をしようと考えているものの、何から手をつければよいか分からないと悩んでいませんか。

実家を整理する際、問題に発展することは避けたいですよね。事前にやってはいけないことを理解して、スムーズに進められるようにしましょう。

この記事では新潟市中央区の竹鼻不動産事務所が、やってはいけない6つの実家の後始末や、トラブルを避けるための対策について解説します。

実家を相続する予定がある方は、ぜひ参考にしてください。

やってはいけない実家の後始末6選

実家を資産として残されると、何から始めてよいか分からない方は多くいます。

なんとなくで手続きや作業を進めて、損をする結果になっていたなど、後悔したくありませんよね。

やってはいけない実家の後始末はおもに6つです。

  • 相続登記をしない
  • 活用方法を決めないまま相続する
  • 実家を無計画に解体する
  • 相続後に放置する
  • 共有名義で相続する
  • 相続放棄後に遺品整理をする

何も知らずにこれらの行動を取ると、金銭や時間、親族との関係などを失ってしまう可能性があります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

相続登記をしない

相続登記とは、相続した実家の名義を被相続人から相続人へと変更する手続きです。

2024年4月1日より不動産の相続登記が義務化され、手続きをしていない相続人は罰則を受ける仕組みとなりました。正当な理由がないにもかかわらず相続登記をしなかった場合、10万円以下の過料が科されます。

ほかにも、相続登記の手続きを怠ると、過料以外にも2つのデメリットが発生します。

実家を売却できない 登記上の所有者のみが売買手続きが可能。

相続登記を怠ると、不動産の所有権が相続人に移転しないため、実家の売却が不可

相続人の複雑化 相続登記しないまま、元相続人が亡くなった場合、誰が次の相続人か分からない状態に。相続人不明だと相続登記が行えず、正式な所有者を定められない。

相続登記は相続の開始があったことを知った日から、3年以内に申請しなければなりません。

実家を活用もしくは売却するにせよ、相続登記されていないと必要な手続きが取れないため、速やかに手続きを行いましょう。

参照:相続登記の申請義務化について 法務省

活用方法を決めないまま相続する

実家など不動産は相続後に活用の有無にかかわらず、所有し続ける限り固定資産税が永続的にかかります。また、建物自体の定期的な維持管理も欠かせません。

相続後に後悔しないために、なんとなくで相続するのは避けましょう。相続するなら、事前に活用法を見出したうえでの検討がおすすめです。

実家を無計画に解体する

実家の管理が負担になるからといって、いきなり建物を解体してはいけません。家屋を解体し更地になると、固定資産税の住宅用地特例を適用できなくなるためです。

住宅用地の特例は、居住するため家屋として利用されている土地の固定資産税を軽減する制度です。実家が解体され更地になると、住宅用地と認識されず、高額になった固定資産税が請求されます。

売却予定のため、問題ないと考える方もいるでしょう。しかし、実家を更地にしたところで、借り手や買い手が見つからないケースもあります。

築年数の古い家屋は、現在の建築基準法と異なる基準で建築されており、再建築が難しい場合も。実家解体後の建築では、現在の建築基準法に則って施工しなければなりません。現行の建築基準法だと、建物面積などの制限が発生する可能性があります。

相続後に放置する

相続した実家を放置すると、発生するのが管理面や費用の問題です。

不動産は所有しているだけで、毎年1月1日時点の所有者に対して、固定資産税と都市計画税の負担がかかります。

実家の管理が行き届かなければ、周辺環境や衛生面で問題を抱える可能性が高くなるでしょう。このような状態で放置を続ければ、特定空き家に指定されるおそれがあります。

特定空き家に指定されると、以下の罰則を科されるケースがあります。

  • 住宅用地の特例の解除
  • 改善命令に従わないと50万円以下の罰金
  • 行政代執行による実家解体時の解体費用の請求

放置する可能性があるなら、最初から相続しないか早めの売却がおすすめです。

参照:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報 国土交通省

共有名義で相続する

共有名義とは、2人以上が同じ不動産の所有者になっている状態を指します。

一般的に共有分のみの売却はできず、土地や建物などの共有名義不動産を手放す際は、共有者全員の同意が必要です。共有者が多ければ多いほど、売却や賃貸の手続きを進めるのに時間がかかります。

また共有名義で相続すると、共有者の1人が亡くなった際に二次相続が発生します。二次相続が発生すると、権利者は複雑化し、管理や処分に関する意思決定が難しくなるでしょう。

相続放棄後に遺品整理をする

相続放棄とは相続人が被相続人の財産を受け取る権利の一切を放棄することを指します。被相続人の財産に関する権利と義務から解放される反面、被相続人の財産に一切手をつけられません。

相続放棄後に遺品整理をすると、相続放棄の意思表示の撤回と取られる可能性も。やむを得ず片付けなければならない場合は、家庭裁判所に遺産管理人の選任を依頼する必要があります。

遺産管理人の選任は相続人から申立てが必要なうえ、一定の費用もかかります。専門家に相談し、適切な手続きを踏みましょう。

なお、遺産管理人が選任されて実家を片付ける際は、以下の点に注意が必要です。

  • 片付けは必ず第三者の立ち合いのもとで行う
  • 動産を勝手に処分しない
  • 換金が必要な場合は必ず遺産管理人に依頼する
  • 被相続人の預貯金口座は勝手に解約しない
  • 郵便物は勝手に転送依頼しない

相続放棄後の実家の片付けは、リスクをともないます。安易に行動せず、専門家の助言を受けながら、適切な手続きを取り進めましょう。

相続放棄後でも実家の片付けが必要なケース

相続放棄後は原則、被相続人の財産に手をつけられません。しかし、例外で実家の片付けが必要になるケースも存在します。

故人が孤独死した場合 孤独死では遺体の発見が遅れるケースが多く、早い段階で特殊清掃サービスへの依頼など対処が必要。
財産管理の義務が

相続放棄をした人にある場合

財産の管理義務は民法940条にも明記されており、相続財産を相続人や清算人に引き渡すまでは相続放棄した人が管理しなければならない。
故人が賃貸に住んでいて

連帯保証人になっていた場合

連帯保証人は、借主が家賃や修繕費用を払えなくなった場合に、代わって責任を負う人のため、相続を放棄しても清掃や支払いなどの義務が発生。

このようなケースでは、相続放棄の有無に関係なく、遺品整理をしなければなりません。判断できない場合は、専門家に指示を仰ぐのが安全でしょう。

実家の4つの後始末方法

可能であれば、親が存命中に実家の後始末の具体的な方法を話し合いをしましょう。事前に話し合うことで、親の意向や親族の考えを共有できるため、相続時のトラブルを減らせます。

なかでも、現実的な方法は以下の4つです。

  • 相続して住む
  • 相続して活用する
  • 相続した実家を売却する
  • 相続放棄する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

相続して住む

相続人が賃貸に住んでいるなら、相続した実家への引っ越しで家賃を抑えられます。

家屋の購入代金もかからないため、経済的な負担もかかりません。実家に住む場合は、必要に応じて適切な維持管理を実施するため、劣化の速度をゆるやかにできるでしょう。

ただし、相続人が2人以上いる場合、遺産分割協議が必要です。

とくに、相続財産が実家しかないケースでは、不公平な相続になる可能性が高く、事前の協議が重要になります。相続後も残された相続人同士良好な関係を続けるために、ほかの相続人に実家と同等の代償金を支払うなど、対策を取りましょう。

相続して活用する

実家の立地や条件がよいなら活用するのもおすすめです。

活用方法は2つあげられます。

  • 賃貸物件として貸し出す
  • 更地にして活用する
  •  

賃貸物件として活用するには、修繕が必要になるケースが多々あります。事前の検討が必要でしょう。また、貸主としての維持管理責任がある点にも注意が必要です。

更地にして活用する方法には、貸し駐車場の運営などがあげられます。建物の老朽化や荒廃が進むリスクをなくせる一方、解体や撤去の手続きが必要です。

活用によって、少しでも利益が出るのであれば検討する価値はあります。

相続した実家を売却する

遠方に住んでいるなど、実家の管理が難しく、相続財産が実家のみの場合は売却がおすすめです。

実家を売却する際には、複数の不動産会社に売却価格の査定依頼をしましょう。複数社への依頼によって、実家の適正価格を把握できます。また、実際売却するとなった場合は、相続人全員が納得する査定金額である必要があります。

売却によって発生した売却金を相続人で均等に分けられるため、相続人同士の関係がこじれにくくなるでしょう。

空き家の維持管理や税負担から解放される点もメリットです。所有し続ける限り税負担は継続するため、実家に戻る選択肢がないなら売却して手放しましょう。

相続放棄する

相続放棄とは、相続人としての地位を放棄し、故人の財産や負債を引き継がない手続きです。

実家の試算価値が低く、ほかに財産もない場合や負の財産がある場合は、相続放棄の検討をおすすめします。相続放棄すると、実家の相続に一切かかわらないことが可能です。

相続放棄すれば故人の財産を引き継がずにすみます。しかし、相続放棄した空き家の相続財産管理人が決まるまでは、管理責任を問われる可能性があるため、注意が必要です。

このような管理責任から逃れるには、実家を更地にするなど所定の手続きを踏んで、相続土地国庫帰属制度の利用も検討しましょう。

相続放棄を行う5つの手順

実家の相続放棄を行う際は、以下の手順で手続きをします。

  1. 司法書士などの専門家に相談
  2. 相続放棄に必要な費用・書類を準備
  3. 相続放棄申述書の作成・必要書類を添付し家庭裁判所へ提出
  4. 家庭裁判所から送付された照会書に回答し返送
  5. 家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書の送付

相続放棄には申請期限があり、相続が発生したと知ったときから3ヶ月以内と決まっています。提出書類の準備や家庭裁判所への申請は期間内に行いましょう。

提出書類に不備があると相続放棄が認められず、自動的に相続として受理される可能性がある点にも注意が必要です。

相続放棄の手続きは煩雑なため、確実に相続放棄したい場合は、専門家に依頼するのが確実な方法です。

参照:相続の放棄の申述 裁判所

【補足】相続土地国庫帰属制度の利用

相続土地国庫帰属法制度とは、2023年4月27日より施行された、相続や遺贈により取得した土地を国が引き取る制度です。

ただし、国が引き取るのは土地のみのため、実家を引き渡すには解体が必要です。家屋の解体費用が準備できない場合は、相続土地国庫帰属法制度は活用できません。

また、土地の管理に要する10年分の標準的な管理費用も請け負わなければならないうえに、土地の審査費用も必要です。

利用を検討するのであれば、事前に情報収集を怠らないようにしましょう。

やってはいけない実家の後始末を避けるためにできる3つの事前対策

両親が残した実家のトラブルを未然に防ぎ、スムーズに後始末したい場合、親が存命のうちに対策を行うのもおすすめです。

  • 遺言書の作成
  • 生前贈与の検討
  • 相続前処分

それぞれ詳しく見ていきましょう。

遺言書の作成

相続では基本的に遺言書の内容が優先されます。

不動産はほかの財産と比べて評価額が高く、相続時のトラブルを引き起こしかねません。そのため、故人の生前に資産の分けを書き記しておけば、スムーズに相続手続きを進められます。

遺言書には2つの種類があります。

自筆証書遺言
  • 作成に費用がかからず手軽に書き直せる
  • 遺言の内容を自分以外に秘密にできる
  • 一定の要件を満たしていないと、遺言が無効になる可能性あり
  • 遺言書が紛失や書き換えのおそれ
  • 遺言者の死後、家庭裁判所にて検認の手続きが必要
公正証書遺言
  • 公証人が遺言書作成を手がけるため、無効になる可能性が低い
  • 紛失や書き換えのおそれがない
  • 家庭裁判所での検認の手続きが不要
  • 証人2人が必要
  • 費用や手間がかかる

どちらの方法を取るにせよ遺言書を作成することで、残された家族の負担が減るでしょう。

生前贈与の検討

親の存命中に資産を生前贈与すれば、相続後のトラブルを未然に防げるでしょう。

実家の名義が受贈者になっていれば、受贈者は実家を自由に売却可能です。ただし、贈与税や不動産取得税には注意しましょう。

親から18歳以上の子へ無償で贈与する場合、特例贈与財産の税率が適用されます。この基礎控除は1年に110万円までのため、実家の評価額によっては、多額の贈与税が課税される可能性があります。

以下が、贈与税対策の2つの制度です。

相続時精算課税制度
  • 原則60歳以上の父母や祖父母から18歳以上の子どもや孫へ贈与する際に選択
  • 贈与を受けた時点では一定額まで贈与税がかからないが、贈与を受けた額を相続時に相続財産へ加算し相続税を算出する
  • 税務署へ申告が必要
暦年贈与課税
  • 1月1日~12月31日の1年間で一人につき110万円までの贈与は非課税
  • 110万円までの贈与であれば、税務署へ申告が不要

生前贈与の実施で、どのように財産を相続させたいか、親から家族に伝えられます。財産ごとに特定の人物に贈与を検討している場合、生前贈与を利用すると確実に所有権を移転できるでしょう。

ただし、相続発生時に、生前贈与した財産が法定相続人の遺留分を侵害したとして、請求される可能性がある点には注意が必要です。

相続前処分

親が存命中に実家や資産について話し合い、先に処分してしまうのも1つの方法でしょう。

実家を売却して現金化すれば、相続発生時に金銭を公平に分け合えるため、相続トラブルは起きにくくなります。

しかし、存命中に実家を処分するのは難しいのが現実です。実家がなくなるだけでなく、実家売却後に親が暮らす居住地を探さなければなりません。

相続前の処分になるため、親自身が売却などの手続きをする必要があります。高齢の親の体力などを考慮する必要があるため、実際行動に移す際は慎重に検討しましょう。

まとめ

実家の後始末にはやってはいけない事柄が多数存在します。

事前に調べずに「なんとなく」で実家を引き継ぐと、後になって損をする可能性があります。実家を引き継ぐには、必要な手続きなど制度の理解が必要不可欠です。

可能であれば親を含めた家族全員で、実家の後始末についての話し合いをおすすめします。前もってできる準備や情報収集を怠らないようにしましょう。

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