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2024.07.05 離婚時の不動産はどう分ける?財産分与の方法や注意点をわかりやすく解説

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離婚時の不動産はどう分ける?財産分与の方法や注意点をわかりやすく解説

離婚時の財産分与のうち、大きな問題の一つが住宅をどう分けるかですよね。離婚時の不動産売却には財産分与や住宅ローンの関係解消など、さまざまなメリットがあります。売却にはいくつかの方法があるので、夫婦の状況にあった方法を選択しましょう。

今回は、離婚時の住宅売却のタイミングや住宅ローンが残っている場合の注意点を解説します。

離婚後に不動産を財産分与する方法は?

家は現金のように額面で分割するのが困難な資産のため、「家を売却して現金化する」または「一方が家を譲り受け、もう片方が現金や他の財産を受け取る」のどちらかの方法で分与します。

方法1:家を売却して現金化する

不動産を財産分与する方法として、最もよく利用される方法です。

売却するときは、不動産会社への仲介手数料や登記費用などの諸費用がかかりますが、そうした経費を差し引けば、手元に残ったお金を夫婦で分けることができます。離婚後に夫婦のいずれも家を使用する可能性が低いのであれば、家を売却して現金で分割する方法を選びましょう。

方法2:一方が家を譲り受け、もう片方が現金や他の財産を受け取る

夫婦のどちらかが不動産を取得し、相手にその家の価値の半額分を支払う方法です。

たとえば、3,000万円の価値がある家を夫が取得した場合、代償金として妻に1,500万円の現金を渡せば公平です。しかし、住宅ローンが残っている場合は支払いを継続しなければならず、どのように返済していくかを決める必要があります。

離婚で不動産を売る最適なタイミングは?

不動産を売る最適なタイミングは「離婚後」です。離婚前に財産分与をおこなうと、贈与とみなされて贈与税の課税対象になるためです。

離婚前に不動産を売却する場合

離婚前に片方の名義になっている不動産を売却し、得た売却益を分け合うと、贈与を受けたとみなされるケースがあります。

離婚後の財産分与であればかからない贈与税が、離婚前だとかかってしまうのです。夫婦間における贈与税は一般贈与財産用という税率を元に計算されます。仮に、離婚前の財産分与で1,000万円を取得した場合、231万円の贈与税を納めなければなりません。

ご事情によってやむを得ず離婚前に家を売却する場合も、リスクを事前に知っておくことが重要です。

また、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で贈与税の特例を受けられる配偶者控除もありますので、詳しい内容は国税庁の「No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」をご確認ください。

離婚後に不動産を売却する場合

離婚後に家を売る場合、「財産分与」として扱われるため、贈与税がかからない点がメリットです。

また、新居への引っ越しやカード類の名義変更など、離婚に関するやりとりをすべて終えた状態で財産分与の話し合いや売却活動に取り組めます。落ち着いた状態で手続きを進められるため、納得いく形で売却しやすくなるでしょう。

ただし、財産分与の期限は「離婚後2年以内」となっているため、先延ばしには注意が必要です。加えて、売却活動が終了するまでは相手との連絡が必要です。夫婦の関係性によってはやり取りの負担が増えることは考慮しておきましょう。

家を売却して財産分与する場合の手順

家を売却して財産分与する手順について詳しく見ていきましょう。

STEP1:事前準備

不動産名義の確認

財産分与では、最初に不動産の所有名義を確認しましょう。不動産の名義人でないと家を売却できません。気を付けたいのは、「住宅ローンが共有名義(連帯保証人など)=家も共有名義である」とは限らない点です。

夫婦の共有名義になっている場合は、2人が同意しなければ売却を進められないため、あらかじめ確認しておきましょう。

名義は、最寄りの法務局で登記事項証明書を取得して確認できます。「登記事項証明書の権利部(甲区)(所有権に関する事項)」の欄をチェックしましょう。婚姻中に購入した不動産であれば、登記した際の資料で確認できます。

住宅ローンの残債を確認

住宅ローンの債務者や、住宅ローンがいくら残っているかを確認します。債務者については、登記事項証明書の権利部(乙区)(所有権以外の権利に関する事項)の欄を見ればどこ(誰)が抵当権を設定しているのか、また、いくらで抵当権が設定されているかが確認できます。

住宅ローンの残債については、固定金利の場合は、ローン借入時にまとめてローン返済表や償還予定表(返済予定表)を受け取っている場合がほとんどです。

変動金利の場合は、6ヵ月ごとの金利見直し後にローン返済表が届くパターンもあります。また、金融機関によってはインターネット上で住宅ローンの状況を確認できます。

売却相場を調べる

売却相場は簡単に調べられます。不動産ポータルサイトから売り出し中の物件情報を集めるなど、売却したい不動産と似た条件の物件を探し、相場を調べましょう。ただし、あくまで現在の売り出し価格なので、成約時の価格とは異なる点に注意が必要です。

STEP2:家の売却想定価格とローン残債を比較する

売却相場を調べ、家の売却想定価格がわかったら、その価格がローン残債を上回っているか下回っているかを確認しましょう。

これは、売却して得た収益でローンの残債を完済できるか判断するためです。家を売るときは住宅ローンを借りた際に金融機関に設定された「抵当権」を外す必要があります。そして、この抵当権はローンを完済しないと外せません。

このとき、家の売却想定価格がローン残高を上回っている場合をアンダーローン、ローン残高を下回っている場合をオーバーローンといいます。

STEP3:財産分与の方法を決定

次に、財産分与の方法を検討します。

財産分与の割合は、2分の1が基本です。ただし、協議離婚によって夫婦双方で合意をすれば、2分の1以外の割合で分配できます。

アンダーローンの場合

家の売却想定価格がローン残高を上回っているアンダーローンの場合には、不動産を売却して得た利益を2人で財産分与します。不動産会社に仲介を依頼し、販売活動を通じて買主を探しましょう。

注意したいのは、家の売却を開始してから買主と売買契約を締結し、決済が終わるまで半年以上かかる可能性があることです。財産分与は離婚が成立してから2年の間に請求する必要があります。したがって、家を売却する場合は、できるだけ早く不動産会社に仲介を依頼して売却活動を始めましょう。

オーバーローンの場合

家の売却想定価格がローン残高を下回っているオーバーローンの場合、不動産を売却してもローンが残ります。そのローンは、2人の自己資金で返済するのが一般的です。

基本的には2人がローン残債の半分ずつを出すのがベストですが、場合によっては稼ぎの多い方が多く払うなどの方法も可能です。困った場合は不動産会社や金融機関と相談しましょう。

STEP4:不動産会社に査定を依頼し、売却する

信頼できる不動産会社、プロの専門家に査定を依頼しましょう。事前準備で取り寄せた登記事項証明書などの情報があれば、依頼する際もスムーズです。

STEP5:事前の取り決めにしたがって、財産分与、もしくはローンの返済を分ける

売却価格が決まったら、「財産分与契約書」などの書類を作成し、その内容に従って進めていきます。

通常は、離婚後に財産分与をして相手から財産を受け取った場合、贈与税などの税金はかかりません。財産分与は婚姻中に夫婦が協力して築いた夫婦共同の財産を、夫婦で分けて清算するのが目的だからです。

ただし、分与された額が多すぎる場合に「贈与税」がかかる可能性はありますので、心配なときは事前に専門家へご相談ください。

家を売却して財産分与する際の注意点

財産分与する際の注意点が2つあります。

財産分与の請求ができるのは離婚後2年以内

財産分与を求める権利は離婚が成立した日から2年で消滅します。これを除斥期間(じょせききかん)といい、この期間を過ぎると相手に財産分与を求められなくなります。

この2年間のうちに相手に財産分与を求める旨を明確に表明していれば、権利は消滅しませんので、分与対象となる財産がある場合、必ずこの期間内に相手に財産分与を求める意思表示をしておきましょう。

任意売却は慎重に

オーバーローンの場合、ローン残債を2人の自己資金で返済する必要がありますが、自己資金で返済できない場合は「任意売却」という方法で家を売却できます。

任意売却とは、債権者(金融機関)の合意があれば、住宅ローンが残っている状態で物件を売買できる方法です。売却価格は、仲介市場での取引価格の6割から8割程度になることが多く、再度、任意売却用に価格を査定します。

任意売却による価格が出たら、その価格を持って金融機関と相談します。金融機関の承諾が得られれば、売買契約と引渡しとなります。

ただし、任意売却では全額返済しないため、住宅ローンを滞納したケースと同様に信用情報に「事故情報」が載る点がデメリットです。「事故情報」が載ると、5年間は新たにクレジットカードを作ることや、新しくローンを組んで住宅や車などを購入するのは難しくなりますので、ご注意ください。

離婚で不動産を売却する方法は?

離婚による不動産売却の方法を3つご紹介します。

仲介

不動産の一般的な売り方は、仲介による売却方法です。仲介は最も高く売却できる方法ですので、財産分与等でできるだけ多くの財産を分けたい場合は仲介による売却が向いています。

仲介では最初に売却査定を行います。売却査定でアンダーローン、つまり住宅ローンの残債より査定価格が高ければ、そのまま売却活動を進めましょう。

仲介の売却は、一般的に売却活動期間に3ヶ月程度の時間を要します。買主が現れたら売買契約を締結し、その後概ね1ヶ月で引渡しとなります。

買取

買取とは、不動産会社が直接買主となる売却方法です。買取はとにかく早く売りたい、近所に知られずに売却したい方におすすめです。

まず、買取を行っている不動産会社に査定を依頼します。査定価格は買取会社が購入する価格ですので、その価格で問題なければ売買契約を締結し、売却は終了です。概ね2週間から1ヶ月程度と短期間で完了します。

まとめ|不動産の売却・購入は不動産の専門家に相談を

今回は離婚時の不動産売却において、財産分与の最適なタイミングや手続きの方法などを紹介しました。財産分与は離婚後がおすすめですが、請求権が2年のため、話し合いがこじれると財産分与の権利自体を失う可能性があります。

早めに専門家へご相談いただき、サポートを受けることでスムーズに進められます。当社は新潟市を拠点に不動産売却エージェントとして、大切な不動産の売却・購入をサポートしていますのでお気軽にご相談ください。

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