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2024.12.31 実家を誰も継がない…売却すべき2つの理由と実家じまいの手順

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実家を誰も継がない…売却すべき2つの理由と実家じまいの手順

実家を継ぐ人がおらず、将来的に空き家になってしまうと、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

実家を出てほかに居住を構えているなど、実家を継げない理由は多くあります。とはいえ、空き家となった実家を放置すると、行政からの罰則や損害賠償を請求されるおそれも。

この記事では新潟市中央区の竹鼻不動産事務所が、売却をすすめる2つの理由や実家じまいの方法を紹介します。

後継ぎがいない実家を所有している方は、ぜひ参考にしてください。

実家を誰も継がないなら早めに売却したほうがよい2つの理由

実家を継ぐ人がいない場合は、できる限り早めに対応しましょう。

誰も継がない実家は空き家となる可能性が極めて高く、放置するとトラブルを招きかねません。このような事態を避けるために早めに対策しましょう。

  • 放置による近隣トラブルの発生
  • 不動産の価値が経年劣化で下がる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

放置による近隣トラブルの発生

実家を継がないからと放置すると、衛生面や治安面での不安要因が生じて、近隣トラブルに発展する可能性があります。

戸建の場合、意図していなくとも、雑草を放置し害虫や害獣が繁殖しやすい環境を作り出しまうことも。

台風などの災害によって、近隣住民に被害が出る可能性もあるでしょう。最悪の場合、損害賠償に発展するケースも考えられます。

実家の放置によるリスクやトラブルを回避するためにも、実家は早めの処分がおすすめです。

不動産の価値が経年劣化で下がる

建物には一般的に、どの程度の期間使用できるかを示す指標「耐用年数」が存在します。

耐用年数は、資産の価値が下がる目安となる数値で、税法上の減価償却資産としての寿命です。耐用年数が経過すると税務上の資産価値はなくなるため、不動産の価値は一般的に築年数とともに減少します。

耐用年数は構造によって異なるため、個別査定が必要です。

耐用年数が残っていなくても、修繕やリフォームで管理の行き届いた建物なら売却は可能です。ただし、両親が他界後、長期間放置すると希望価格の売却ができなくなる可能性があるため、注意しましょう。

誰も継がない実家をしまう5つの手順

親の生前に実家を誰も継がないことが分かれば、事前の対策が可能です。

ここでは、親自身が取れる実家じまいの手順を紹介します。

  • 実家じまい後の生活を考える
  • 貴重品の確認・選別
  • 荷物の整理
  • 引っ越し
  • すまいの処分

それぞれ詳しく見ていきましょう。

実家じまい後の生活を考える

実家じまいをすると、親の住む家がなくなります。そのため、実家じまい後の暮らしの検討が必要です。

  メリット デメリット
賃貸暮らし
  • 手軽に引っ越せる
  • 収入変化に対応しやすい
  • 近隣トラブルに巻き込まれても柔軟に対応可能
  • 定期的な家賃の支払
  • 内装の自由度が低い
  • 年齢を理由に借りられなくなる可能性
子どもとの同居
  • 生活を助け合える
  • 生活費を抑えられる
  • 面倒を見やすい
  • ストレスが溜まる
  • 生活リズムの相違
  • 価値観や性格の不一致
施設の利用
  • 家族の負担が少ない
  • 生活支援サービスの充実
  • 充実した生活を送れる
  • 費用がかかる
  • 自由に生活できない
  • すぐに入所できるとは限らない

それぞれの生活環境や健康状態によって取れる選択肢は大きく異なります。家族や親族と相談や話し合いをしたうえで、方針を決めましょう。

貴重品の確認・選別

居住年数が長ければ、所有物の数も膨大になるでしょう。日常的に使用するもの以外は、どこに片付けているのか分からないものも数多くあるのではないでしょうか。

実家じまいをする際には、貴重品の確認や選別をしておきましょう。

大事な書類がどこにあるか事前に探し出すことをおすすめします。とくに、実家の建築や売買時の契約書類が見つからないと、家屋を手放す際に困るケースが多々あります。

家屋の処分をどうするか決めかねているとしても、大切な書類はあるに越したことはありません。契約書などの所在を把握し、家族に共有するようにしましょう。

荷物の整理

荷物を整理する際は、次の住まいに無理なく保管できる量に留める心がけが大切です。

実家じまいを検討しているケースでの引っ越しの場合、次に住む家は今までよりも狭くなるケースが一般的です。

引っ越しは基本的に業者に依頼しますが、荷物の梱包は自ら対応します。準備の時点で必要なものを選別しておかないと、不用品を新居に持ちこむ可能性があります。反対に、必要だった貴重品を処分してしまうケースも。

新しい住まいに持ちこむ荷物を選別するうちに、膨大な量になる可能性も考えられます。長年居住していた家屋には、思い出の品なども非常に多いでしょう。ですが、思い出だからと多くのものを保管すると本末転倒です。

引っ越し

引っ越しする場合の注意点は、水道光熱や通信の解約です。

電気やガスの解約やインターネットに加えて、宅配関係の手続きを忘れずに行いましょう。ただし、解体を実施する場合、工事の際に水道を使用するケースがあります。

基本的にはすべての契約を解約するのが望ましいですが、実家じまい方法によっては、継続して契約したほうがよい可能性もあります。実家じまいの際には、生活インフラがどのような状態になっていればよいのか確認しましょう。

住まいの処分

実家じまい方法は家族や親族と話し合ってから決めましょう。

家屋を処分する場合、基本的には不動産会社へ依頼するケースが多いでしょう。前もって、複数の不動産会社に査定依頼するとスムーズに進みます。

不動産会社によっては、実家じまいに対する具体的な提案や対応があるため、安心して新しい生活へと移行が可能です。

最初から1つの不動産会社に依存すると、不動産会社の対応が悪く、実家じまいが思うように進まないケースも起こります。

手間はかかりますが、不動産会社2~3社での比較検討がおすすめです。サービスや販売条件を比較しながら、実家じまいに最適な方法を選択できます。

生前贈与の利用

生前贈与を利用すると、実家の処分を受贈者が行えるようになります。ただし、対象の不動産を利活用しないのであれば、メリットはほぼないため、おすすめできません。

利活用する場合も、単純な贈与ではなく信託相続時精算課税制度を利用しましょう。

贈与税不動産取得税には注意が必要ですが、将来、実家を誰も継がないのであれば、選択肢の1つに加えてもよいかもしれません。

実家を誰も継がないときの4つの懸念点

両親の他界後、自分を含め誰も実家を継がない(継げない)となった場合、どうすればよいか悩む方も少なくありません。

現代は核家族が増えた影響で、遠方で自宅を構え実家に戻れないなどの事情を抱えているケースもあるでしょう。

ここでは、実家を誰も継がないときに考えられる4つの懸念点を紹介します。

  • 自分で管理する必要
  • 税金や維持費がかかる
  • 修繕や災害対策が必要
  • 空き巣など犯罪に巻き込まれる可能性

それぞれ詳しく見ていきましょう。

自分で管理する必要

誰も継がない実家でも、管理のために所有者は定期的に通わなければなりません。

家屋は人の往来がなくなると、劣化の進行が早まります。

居住時と違い、空き家になると換気や掃除が滞るため、さまざまな不具合が発生するでしょう。修繕の対応が遅れると、建物の劣化が進む原因になります。

継がないからといって、管理責任から逃れられるわけではありません。建物の劣化を放置すると、行政から特定空き家に指定され、罰則を科される可能性も。

誰も継がない実家の管理は想像以上に手間がかかります。とくに、実家が遠方だと頻繁に帰るのは難しく、体力や時間の負担が大きくなるでしょう。

特定空き家とは

特定空き家とは、周辺環境に明らかな悪影響を及ぼす空き家を指します。

空き家の状態が以下のケースに当てはまると、特定空き家に該当します。

  • 放置すれば倒壊など保安上危険となるおそれのある状態
  • 放置すれば衛生上有害となるおそれのある状態
  • 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
  • 周辺の生活環境の保全を図るために放置が不適切である状態

とはいえ、突然「特定空き家」に指定されるわけではありません。まずは、空き家の所有者に対し、空き家状況を改善するよう、行政指導が行われます。その後も空き家を放置し、勧告の段階までに改善しないと特定空き家に指定される流れです。

勧告を受けた場合、住宅用地に適用される固定資産税の軽減特例が利用できず、納税額が大幅に増加します。また、義務違反をした罰則で、最大50万円の過料が科されるほか、強制解体の可能性もあります。

強制的に解体される場合、解体費用を請求されるうえ、自分で業者を選定できません。そのため、請求される費用は、相場より高額になるおそれがあります。

税金や維持費がかかる

実家を誰も継がない場合でも、税金や維持管理費がかかります。

両親の他界後、所有権は子どもをはじめとした相続人に移ります。所有者である限り、実家を維持管理する義務があるうえ、税金も支払わなければなりません。

建物や設備が劣化すると、維持するための修繕工事が必要です。戸建の場合、庭木の刈り込みや屋根の修理、外壁メンテナンスなどの費用が発生します。

遠方に住んでいる場合は、実家までの交通費もかさむでしょう。

修繕や災害対策が必要

実家を継がなかったとしても、所有者である限り、災害による建物の破損や倒壊などの危険性を考えなければなりません。

実家の築年数が古い場合、耐震基準を満たしておらず、地震発生時に多大な被害をもたらす可能性があります。万が一、倒壊してしまった場合は、修繕や解体が必要です。

倒壊までいかずとも、台風の強風や突風によって、屋根の瓦が飛んでしまうおそれもあります。近隣に被害を及ぼすと損害賠償に発展する危険性があるので、継がなくとも実家の災害対策は必須です。

空き巣など犯罪に巻き込まれる可能性

誰も継がない実家が空き家であれば、犯罪被害に遭う可能性が高くなります。

継いでいないとはいえ、定期的に訪れる実家が不法侵入など犯罪の温床になる可能性があるのは恐ろしいですよね。

実家が空き家であると露見した場合、親の残した貴重品や家具などが盗まれる可能性もあります。また、放火などの事件に巻き込まれると、近隣への被害も無視できません。

誰も継がない実家の売却は不動産会社に相談

不動産会社には購入希望者を探す仲介業者と、直接家屋や土地を買い取る買取業者があります。

実家売却は、どちらの不動産会社に依頼するかによって、売却価格や売却までの時期に差が出るため考慮が必要です。どちらに依頼するにしても、複数の不動産会社に査定を依頼するようにしましょう。複数社に依頼すると、実家の適正価格が見えてきます。

  • 時間がかかっても高値で売却するなら不動産仲介業者
  • 早く手間なく売却するなら不動産買取業者

それぞれ詳しく解説します。

時間がかかっても高値で売却するなら不動産仲介業者

売却に時間がかかったとしても、高値で実家を売却したい場合は、不動産仲介業者への依頼がおすすめです。

不動産仲介業者は、独自のネットワークを通して購入希望者を幅広く募ることが可能です。それぞれのニーズに合った売却方法の提案を受けられるでしょう。

実家の立地や建物状態がよければ、購入希望者はすぐに見つかる可能性が高い傾向です。反対に、立地や建物状態に問題があれば売却は長引きやすくなります。

不動産を売却する際に注視したいのは、建物の立地条件です。立地条件がよければ、建物状態が悪くても売却可能です。

立地条件が悪い場合は売却までに時間がかかる可能性が高くなります。売却が完了するまでの間は、固定資産税などの支払義務が発生する点を覚えておきましょう。

早く手間なく売却するなら不動産買取業者

可能な限り早く手間なく実家を売却したい場合は、不動産買取業者へ依頼しましょう。

不動産買取業者は、買い取った建物に修繕やリフォームなどの手を加え、購入希望者に販売する専門家です。

不動産買取では仲介と比較して実家の売却価格は安いケースが多いですが、物件の立地や状態がやや悪くても対応できます。大規模修繕が必要な建物でも買取可能な点はメリットでしょう。

とはいえ、立地条件があまりにも悪いケースでは不動産業者でも買い取れないこともあるため、注意が必要です。

実家の立地条件に不安がある場合は、依頼をする前に買取可能なエリアかどうかの確認がおすすめです。

誰も継がない実家売却時の税金対策

実家を売却する際は動く金額が大きい分、税負担も重くなるため、特例が用意されています。

実家を売却するタイミングによって利用できる特例が違うため、注意が必要です。以下に、相続前(親の生前)と相続後(没後)に利用できる特例を紹介します。

相続前(親の生前)に利用できる特例

マイホームを売ったときの特例
  • マイホームの所有期間の長短に関係なく、譲渡所得から最高3,000万円まで控除可能
  • 対象外の家屋もあるため注意が必要
マイホームを売ったときの軽減税率の特例
  • 長期譲渡所得の税額を通常よりも低い税率で計算する
  • マイホームを売ったときの特例と併用可能
  • 提示された5つの要件すべてを満たす必要がある
特定のマイホームを買い換えたときの特例
  • 令和7年12月31日までに家屋を売却後、買い換えたときに利用可能
  • 譲渡益に対する課税を将来に繰り延べられる
  • スムーズな住み替えは可能だが、将来税負担が発生する

相続後(親の没後)に利用できる特例

被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
  • 親から相続した実家の売却時に得た利益(譲渡所得)から最大3,000万円の控除が可能
  • 相続人自身が居住していなくても適用可
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
  • 相続した資産を一定期間内に譲渡した場合、通常の取得費に加えて相続税額の一部を取得費として加算する
  • 相続税を負担した人のみ利用可
  • 株式などの譲渡による事業所得や雑所得は適用不可

このような特例を利用して税金対策を行い、それぞれの状況に合った売却タイミングを見極めましょう。

まとめ

実家を誰も継がない場合、どのような方法を使っても実家じまいは行うべきです。

親の存命中に実家の処分の話し合いができるなら、親の意向を含んだ処分方法を実施できます。両親がすでに他界している場合は、相続人で方針を話し合い、手続きを進める必要があります。

誰も継がない実家は早いタイミングで売却するのがおすすめです。売却すると税金の支払や管理責任から逃れられます。

実家の売却で不明な点があれば、信頼のおける不動産会社や専門家に相談して、適切な提案を受けましょう。

>>新潟市中央区で不動産売却するなら「竹鼻不動産事務所」