不動産を売りに出しているのに、なかなか売れない。
この状態になると、まず「価格を下げた方がよいのでは」と考えやすくなります。
価格が原因のことはあります。しかし、売却が長期化している理由が、すべて価格とは限りません。
最初に確認したいのは、買主の検討がどの段階で止まっているのかです。
- 物件情報が買主へ届いているか
- 情報を見た人から問い合わせがあるか
- 問い合わせから内見・現地確認・詳細検討へ進んでいるか
- 購入申込みが入っているか
- 申込み後、融資・価格・契約条件で止まっていないか
この5段階のどこで止まっているかによって、見直すべきものは変わります。
なお、この記事では「3か月以上」「6か月以上」など、一律の期間を売却長期化とは定義しません。
土地、戸建、マンション、収益物件、高額物件では買主の数や検討期間が違うためです。
一定期間販売しているにもかかわらず、当初想定した市場反応が得られていない状態を「長期化」と考え、その原因を確認していきます。
この記事では、新潟市で不動産を売りに出しているものの成約に至っていない方に向けて、値下げする前に何を確認すればよいのかを整理します。
まず診断|売却はどの段階で止まっている?
「売れない」という一言でまとめず、現在の販売状況を分解してみます。
| 段階 | 現在の状況 | 最初に確認すること |
|---|---|---|
| ① 情報流通 | 物件情報があまり見られていない | どこへ、誰に、どのように情報を出しているか |
| ② 問い合わせ | 見られているが問い合わせがない | 価格、総額、競合、写真、説明内容 |
| ③ 詳細検討 | 問い合わせはあるが内見・現地確認・詳細検討へ進まない、または現地確認後に見送られる | 追加資料、物件条件、現地評価、買主総予算 |
| ④ 申込み | 検討はされるが購入申込みがない、または申込み条件が合わない | 価格、引渡し、修繕、測量などの条件 |
| ⑤ 契約・融資 | 買主はいるが融資や契約条件で進まない | 融資条件、物件評価、買主属性、契約条件 |
この順番で確認すると、いきなり「値下げ」という結論になりにくくなります。
例えば十分に閲覧され、問い合わせも内見も入っているのであれば、情報が届いていないことが主な問題とは考えにくくなります。
反対に、そもそも買主候補へ情報が十分に届いていないのであれば、価格を下げる前に販売方法を確認する余地があります。
値下げの前に、どこで買主の判断が止まっているのかを特定する。
これが売却を見直す最初の作業です。
① 情報流通|そもそも買主へ情報が届いているか
最初に確認したいのが、物件情報の流通です。
「売りに出している」と「買う可能性のある人へ情報が届いている」は同じではありません。
例えば、
- どの不動産ポータルへ掲載しているか
- 誰を買主として想定しているか
- その買主が見る媒体へ情報を出しているか
- 他の不動産会社から買主を紹介できる状態になっているか
- 専任媒介・専属専任媒介の場合、レインズへ適切に登録されているか
などを確認します。
一般媒介契約には、専任媒介・専属専任媒介と同じレインズへの法定登録義務はありません。ただし、一般媒介の物件がレインズへ登録される場合もあります。
そのため、媒介契約の種類だけを見るのではなく、実際にどのような方法で物件情報を流通させているのかを確認する必要があります。
特に収益物件や事業用地では、一般の住宅購入者へ広く広告すればよいとは限りません。
重要なのは広告量ではなく、その不動産を買える可能性のある人へ届いているかです。
レインズ登録物件なら、売主自身でも確認できることがある
専任媒介・専属専任媒介などでレインズへ物件が登録されると、不動産会社から登録証明書が交付されます。
売主専用画面では、登録されている物件情報や取引状況を確認できます。
現在の取引状況は、
- 公開中
- 書面による購入申込みあり
- 売主都合で一時紹介停止中
といった形で確認できる仕組みになっています。
「他の不動産会社にも紹介されています」と説明を受けるだけでなく、確認できる仕組みがある場合は自分でも見ておくとよいでしょう。
売却が長期化している場合には、レインズだけでなく、ポータル掲載、他社からの問い合わせ、既存顧客への紹介などを含めて、どこまで情報が流れているかを確認します。
「一般媒介なら広い」「専任媒介なら狭い」とは限らない
媒介契約について、
「一般媒介なら複数社へ頼めるから広く売れる」
「専任媒介だと一社だけなので情報が狭くなる」
と説明されることがあります。
しかし、実際の情報流通はそれほど単純ではありません。
専任媒介でも、レインズを通じて他社から買主の紹介を受けることはできます。
反対に、一般媒介で複数社へ依頼していても、それぞれの会社が同じように積極的な販売活動をするとは限りません。
確認したいのは、
- どこへ情報を出しているか
- 他社から問い合わせがあるか
- 他社による買主紹介へどのように対応しているか
- どのような広告・販売資料を使っているか
- どの程度販売状況を共有してくれるか
です。
問題なのは両手取引か片手取引かという結果そのものではなく、売主の知らないところで情報流通が止まっていないかだと弊社は考えています。
② 問い合わせ|見られているのに問い合わせがない
物件情報は閲覧されているのに問い合わせにつながっていない場合は、買主が比較した結果を考えます。
買主は、一つの物件だけを見ているわけではありません。
同じエリア、価格帯、用途の物件と比較しています。
そのため、次のような点を確認します。
- 現在の競合物件
- 売出価格と買主の総予算
- 物件写真
- 間取り図や土地図面
- 広告に掲載されている情報量
- 物件の強みが伝わっているか
- 検討するために必要な資料が不足していないか
この段階では価格も重要です。
ただし、単純に「相場より高いか」だけを見るのではありません。
その総額を出せる買主が、同じ予算で他に何を購入できるのかまで比較します。
売主側の「相場」と、買主側の「総予算」は違う
例えば土地の場合、坪単価が周辺相場と大きく離れていなくても、面積が大きければ土地総額は高くなります。
さらに住宅を建てる買主であれば、土地代だけでなく建築費、造成費、外構費なども必要です。
中古戸建やマンションであれば、購入後のリフォーム費用を考える人もいます。
収益物件なら、自己資金に加えて購入後の修繕費も考えます。
つまり、
売主側から見て「相場の範囲内」でも、買主の総予算から見ると選ばれにくいことがあります。
新潟市の土地では、道路条件や駐車場の取りやすさ、建築費まで含めて買主の総予算を見ることが特に重要です。
物件種別によって「買主が知りたい情報」は違う
情報が不足していると、価格以前に買主が判断できないことがあります。
| 物件種別 | 特に確認されやすい情報 |
|---|---|
| 土地 | 道路、間口、形状、境界、上下水道、建築条件、総額 |
| 戸建 | 建物状態、修繕履歴、間取り、駐車場、引渡し条件 |
| マンション | 階数、方角、眺望、駐車場、管理費、修繕積立金、室内状態 |
| 収益物件 | レントロール、空室、修繕、管理、融資、利回り、将来の出口 |
例えば収益アパートなら、外観写真がきれいでもレントロールや修繕状況が分からなければ、投資家は具体的な購入判断へ進みにくくなります。
土地なら、きれいな写真より道路幅員や間口、敷地形状が分かる資料の方が重要なことがあります。
見せ方を良くするとは、単に写真をきれいにすることではなく、買主が判断するために必要な情報を出すことです。
③ 詳細検討|問い合わせ後、どこで見送られているか
問い合わせがあるのであれば、広告を見た段階では一定の関心を持たれています。
その後に進まない場合は、問い合わせ後に判明した条件を確認します。
例えば、
- 希望する引渡し時期と合わない
- 駐車場条件が合わない
- 詳細資料を見ると想定していた条件と違う
- 土地の道路や建築条件が希望と合わない
- 収益物件の家賃・空室・修繕状況が想定と違う
- 内見日時を合わせにくい
といった理由です。
「問い合わせが3件ありました」という件数だけでは、次の販売改善にはつながりません。
その3人が、なぜ次へ進まなかったのかまで確認できると販売方針を考えやすくなります。
内見・現地確認後に見送られるなら、現地評価を確認する
内見や現地確認まで進んでいるのに申込みにならない場合は、重要な情報が得られる段階です。
買主は広告だけでなく、実物を見たうえで判断しています。
土地の場合
- 道路や間口が使いにくい
- 希望する建物配置が難しい
- 高低差や造成費が想定以上
- 周辺環境がイメージと違う
戸建の場合
- 室内の傷みが想定より大きい
- リフォーム費用がかかりそう
- 駐車場が使いにくい
- 間取りや生活動線が合わない
マンションの場合
- 眺望や日当たりが期待と違う
- 室内状態からリフォーム費用が大きく見える
- 駐車場条件が合わない
- 同じマンション内の別住戸の方が条件がよい
収益物件の場合
- 修繕負担が大きく見える
- 空室理由に不安がある
- 現地確認後に賃料の持続性へ懸念が出る
- 融資条件を入れると収支が合わない
内見数そのものより、見送り理由を集めた方が次の打ち手を決めやすくなります。
④ 申込み|購入申込みがない、または条件がまとまらない
詳細検討まで進んでも申込みが入らない場合は、価格と物件条件のバランスを改めて確認します。
一方、購入申込みは入るものの契約まで進まない場合には、どの条件で合意できていないのかを分けます。
- 価格
- 引渡し時期
- 残置物
- 測量
- 修繕
- 契約不適合責任
- 融資特約
- その他の契約条件
例えば複数の買主から同程度の価格交渉が入るのであれば、市場からの一つの反応として考える価値があります。
ただし、一人の買主から値引きを求められただけで、その価格を「市場価格」と決めつける必要もありません。
個別の交渉なのか、複数の買主に共通する評価なのかを分けることが重要です。
⑤ 契約・融資|買主はいるのに買えないこともある
特に収益物件では、「欲しい人はいるが融資が付かず買えない」ということがあります。
金融機関は、買主本人だけでなく、
- 物件価格
- 収益性
- 築年数
- 担保評価
- 融資期間
- 買主の自己資金
なども踏まえて融資を判断します。
ここで注意したいのが、
「積算価格が高いから売れる」「利回りが高いから売れる」とは限らないことです。
融資が付きやすいことと、将来同じような価格で買主が見つかることも別の問題です。
収益物件では、価格、収益性、修繕、融資、将来の出口までつながっているため、どこで検討が止まっているのかを見る必要があります。
「売れていない期間」だけを理由に値下げしない
一定期間売れていないと、「そろそろ価格を下げましょう」という話になることがあります。
価格調整が必要なケースはあります。
ただし、販売期間だけを理由に決めるのではなく、それまでの市場反応を見ます。
| 市場の反応 | 先に確認したいこと |
|---|---|
| 閲覧自体が少ない | 情報流通、広告、買主設定 |
| 閲覧は多いが問い合わせがない | 価格、総額、競合、情報の出し方 |
| 問い合わせはある | 追加条件、資料、対応 |
| 現地確認はあるが申込みがない | 現地評価、価格、物件固有の弱点 |
| 申込みはある | 価格交渉、引渡し、契約条件 |
| 融資で止まる | 価格、物件評価、融資可能な買主層 |
この順番で確認し、価格が原因と考えられるのであれば、値下げには合理性があります。
反対に、情報流通や資料不足が原因なのに価格だけを下げ続けることは、売主にとって必ずしも良い方法ではありません。
「最初の1〜2か月で売れないと厳しい」とも限らない
売出直後は新着物件として購入検討者の目に触れやすいため、初期の反応は重要です。
ただし、「最初の1〜2か月で売れなければ失敗」とは言えません。
販売期間は、
- 物件種別
- 価格帯
- 買主の数
- 競合物件
- 融資
- 売主が設定する条件
などによって異なります。
例えば、高額な収益物件や特殊な事業用地では買主候補が限られ、適切な相手を探すために時間が必要な場合があります。
一方、一般的な住宅なのに十分な問い合わせが長期間ない場合は、価格や販売方法の見直しが必要になる可能性が高くなります。
「何か月売れていないか」だけではなく、その期間にどんな市場反応があったのかを見る。
これが重要です。
物件種別によって、長期化の原因は変わる
土地
価格だけでなく、道路、間口、形状、境界、上下水道、駐車場、建築総予算などを確認します。
相場に近い坪単価でも、土地面積が大きく総額が高くなれば、検討できる買主が少なくなることがあります。
戸建
建物状態、リフォーム費用、駐車場、間取り、築年数などが判断材料になります。
清掃や写真を改善すればよいケースもありますが、建物状態と価格のバランスそのものが原因の場合もあります。
マンション
同一マンション内の競合、階数、方角、眺望、室内状態、駐車場、管理費、修繕積立金などを比較します。
同じマンション内に似た住戸が売り出されていれば、買主から直接比較されます。
収益物件
レントロール、現況収入、空室、修繕、管理、融資、将来の出口まで確認します。
利回りだけではなく、その価格で実際に融資を利用して購入できる投資家がどれくらいいるかという流動性も重要です。
現在売却中なら、不動産会社へこの5点を確認する
現在すでに売却中であれば、まず担当会社へ次の内容を確認してみてください。
- 物件情報をどこへ掲載・紹介しているか
- 問い合わせが何件あり、どのような内容だったか
- 内見・現地確認・詳細検討へ何件進み、どんな評価だったか
- 購入申込みや価格交渉があったか
- 現在の競合物件と比べて、どこが有利・不利なのか
確認できる場合には、ポータルサイトの閲覧状況やレインズの登録内容・取引状況など、数字や記録も共有してもらうと判断しやすくなります。
「問い合わせがありません」という結果だけでなく、
「なぜ問い合わせがないと考えているのか」
まで聞いてみることが重要です。
査定時や販売中に不動産会社へ何を確認すればよいかについては、不動産売却の営業トークは信じて大丈夫?新潟市で査定時に確認したい7つの質問でも整理しています。
不動産会社を変える前に、現在の販売状況を診断する
売却が長期化すると、「不動産会社を変えた方がよいのでは」と考えることがあります。
会社変更が有効なケースはあります。
ただし、現在の会社だから売れないのか、価格・物件条件・市場そのものが原因なのかは分けて考えた方がよいでしょう。
例えば、
- レインズ等を含む情報流通
- 広告状況
- 他社からの問い合わせ
- 売主への活動報告
- 現在までの買主の反応
を確認すれば、販売活動の問題なのか、物件・価格の問題なのかを整理しやすくなります。
現在依頼している会社の変更を検討している方は、新潟市で売却を依頼した不動産会社を変更するには?他社で売却中に確認したい媒介契約と販売活動も参考にしてください。
他社へ相談することと、現在の媒介契約をすぐ変更することは別です。
まずセカンドオピニオンとして現在の販売状況を整理する方法もあります。
売却期間が長いこと自体を「失敗」と決めつけない
売却期間が長くなると、「この販売は失敗しているのでは」と感じるかもしれません。
しかし、期間が長いことだけで失敗とは言えません。
例えば売主が、相場より高い価格へ一定期間挑戦することを理解したうえで販売しているのであれば、その期間には意味があります。
また、買主が限られる物件では、時間をかけて条件の合う買主を探すこと自体が販売戦略になる場合があります。
問題なのは、
「なぜ売れていないのか分からないまま、同じ販売を続けている状態」
です。
販売期間そのものではなく、これまで得られた市場反応を次の判断へ使えているかを確認してください。
売れないときは「値下げ」ではなく「診断」から始める
不動産売却が長期化したときは、次の順番で確認します。
- 情報は適切な買主へ届いているか
- 見られているのに問い合わせがないのか
- 問い合わせ後・現地確認後のどこで見送られているか
- 購入申込みにつながらない理由は何か
- 申込み後、価格・融資・契約条件のどこで止まっているか
そのうえで、
- 価格を変える
- 広告や資料を変える
- 買主層を変える
- 販売チャネルを変える
- 物件の見せ方を変える
- 契約・引渡し条件を調整する
といった対応を選びます。
原因が違えば、打ち手も違います。
価格を下げることが必要な場合もありますが、それは原因を整理した後に選ぶ手段の一つです。
新潟市で「売りに出しているのに売れない」と感じている方へ
竹鼻不動産事務所では、新潟市で現在売却中の不動産についても、すぐに値下げや媒介契約の変更を勧めるのではなく、まず現在の販売状況を整理しています。
情報流通、価格、競合、問い合わせ、現地確認、買主の反応、融資、物件固有の条件を順番に確認すると、「価格を変えるべきなのか」「販売方法を変えるべきなのか」「現在のままもう少し販売を続けるべきなのか」を判断しやすくなります。
「半年以上売れていない」「値下げを勧められているが妥当か分からない」「現在の不動産会社の販売方法を一度整理したい」といった段階でも構いません。
他社との媒介契約変更を前提とせず、現在の販売状況を整理するところからご相談いただけます。
まず現在の販売状況と選択肢を確認したい方は、新潟市の仲介売却についてをご覧ください。
