アパートの売却前に管理会社を変更するかどうかは、現在の管理上の課題と、売却までの期間を比べて判断します。変更しただけで査定価格が上がるわけではありません。
まず現在の管理会社から資料を取り寄せ、空室、滞納、修繕、契約内容を確認します。そのうえで、今の体制で改善できるのか、変更が必要なのかを考える順番です。売却直前の変更では、引継ぎに時間がかかり、かえって販売準備が遅れることもあります。
売却準備の全体像は、アパート売却で最初に確認したいこと、販売方針は収益物件の買主が見る収益・融資・出口と販売戦略で整理しています。この記事では、管理会社を変更する判断と引継ぎに絞ります。
買主が確認するのは、管理会社の名前より運営状況
買主は、取得後の収支と管理負担を見込むために、現在の入居状況や修繕の履歴を確認します。管理会社を変えても、資料の食い違いや不明点が残れば、購入後の運営を判断しにくい状態は変わりません。
たとえば、レントロールと賃貸借契約書で賃料が違う、入金状況が分からない、修繕をしたと聞いているのに工事内容を確認できない、といった点です。買主から追加資料を求められたり、費用やリスクを見込んだ価格交渉につながったりする可能性があります。
現在の管理会社が状況を把握し、必要な資料も出せるなら、変更せずに売却準備を進められる場合があります。
変更の判断に先立ち、資料と契約を確認する
現在の管理会社には、売却の検討に使うことを伝え、次の資料を依頼します。相続した物件で内容が分からない場合も、まずここから着手できます。
- 最新のレントロール、賃貸借契約書、駐車場契約の一覧
- 月次収支報告、賃料の実入金と滞納の状況
- 空室期間、募集条件、反響・内見の記録、退去・更新予定
- 修繕履歴、工事の見積書・請求書・写真、未対応の不具合
- 入居者からの苦情と対応の記録
- 管理委託契約書、敷金・保証金の預り先と残高
固定資産税納税通知書など、所有者が保管する資料も併せて整理します。足りない資料は、所在と取り寄せ先を確認し、分からない部分を明らかにしておきます。
レントロールは、作成日と契約内容、入金状況を照合します。詳しくは、アパート売却でレントロールが重要な理由をご覧ください。相続後の保有と売却の比較は、相続したアパートは売るべきか持ち続けるべきかで説明しています。
変更を検討したい場合と、継続して準備できる場合
資料の提出を依頼しても不明点が解消されない、長期空室の募集状況を説明してもらえない、滞納や修繕への対応が進まない場合は、管理体制を見直す理由になります。ただし、空室や不具合の原因が管理会社の対応だけにあるとは限りません。委託している業務の範囲と、所有者側で決める必要がある事項も確認します。
変更する場合は、新しい管理会社が何を、いつまでに改善できるのかを具体的に聞きます。募集条件の見直し、資料の整備、滞納状況の把握など、売却までに実施できる内容を確認し、引継ぎや追加費用と比べます。
現在の管理に大きな支障がなく、資料も揃う場合や、近く売却活動を始める場合は、今の管理会社と準備を進める選択肢があります。買主が取得後に別の会社へ委託する可能性もあるため、売主様の段階で一度変更する必要があるかは慎重に考えます。
空室対策や修繕に費用をかける場合も、その費用が売却価格にそのまま反映されるとは限りません。買主が改修方針を決めたい場合もあります。大きな工事の前には、築古アパートを修繕してから売るか、そのまま売るかも含めて比較します。
変更するなら、解約条件と引継ぎ日程を先に決める
管理委託契約では、解約予告の期間・通知方法、報酬や費用の精算、契約終了時の書類・鍵の返還などを確認します。国土交通省も賃貸住宅標準管理受託契約書を公表していますが、これはひな形です。実際の契約条件を確認し、一律の日数で解約できると判断しないようにします。
管理報酬だけでなく、募集業務、広告料、修繕の承認・手配、家賃送金、滞納対応を誰が担当するのかも確認します。変更に伴う役割の抜けを防ぐため、旧・新管理会社と次の項目を整理します。
- 旧会社の業務終了日と、新会社の業務開始日
- 入居者への連絡時期、問い合わせ先、賃料の支払先を変える必要の有無
- 未収賃料、敷金・保証金、未払工事代などの残高と精算方法
- 契約書、鍵、修繕資料、苦情対応記録、駐車場関係資料の受渡し
- 進行中の募集、更新、退去、修繕への対応担当
- 売却を担当する会社との資料共有と、買主からの確認への窓口
管理会社を変えることと、物件を売ることは別の手続きです。買主への管理契約の承継や終了は当然に決まるものとして扱わず、現在の契約と売買条件、新しい管理方針を確認します。入居者対応と賃料管理を途切れさせない日程が必要です。
なお、管理委託と一括借上げによるサブリースは契約関係が異なります。一括借上げ中の物件を、通常の管理会社変更と同じ手順で切り替えられるとは限りません。契約関係が分からない場合や解約条件に争いがある場合は、契約書を確認し、必要に応じて弁護士へ相談します。
管理会社と、売却を依頼する会社の役割を整理する
管理会社が売却も担当する場合、日頃の入居状況や修繕履歴を把握していることは資料整理に役立ちます。そのうえで、査定の根拠、買主候補、販売方法、確認されそうな課題を説明してもらいます。
管理と売却を別の会社に依頼する場合は、所有者から資料共有の範囲と窓口を伝えます。管理会社は運営資料の確認、売却を担当する会社は査定や買主探索、条件調整など、それぞれの担当を整理すると、問い合わせの行き違いを減らせます。実際の業務範囲は契約により異なります。
売却の依頼方法は、収益物件の媒介契約と公開・水面下販売の考え方で説明しています。
管理状況を整理しながら、売却の進め方を考えたい方へ
弊社では、新潟市のアパート・一棟マンションなどの売却相談にあたり、入居状況、収支、修繕、管理委託契約を確認し、売却準備に必要なことを整理します。
管理会社を変更するか迷っている段階でも、ご相談いただけます。まずは手元の管理資料から現状を確認し、変更が必要な理由と、今の体制で進められる準備を分けて考えましょう。ご相談はアパート売却前の管理会社の変更について相談するからお寄せください。
