一括査定サイトで届いた高額な査定額。…その数字、本当に信じて大丈夫？

一括査定サイトで届いた“高額な査定額”。その数字、本当に信じて大丈夫でしょうか？

新潟で売却相談を受けていると、一括査定を使ったお客様からよくこう言われます。

• 「A社だけ、ほかより500万円も高い」
• 「この金額、本当に売れるの？」
  
  

結論からいうと──

査定額が高い＝良い会社、ではありません。

これは業界批判でもなく、現場の肌感として何度も見てきた事実です。 数字だけで判断してしまい、売却が長期化してしまったケースも少なくありません。

この記事では、 「高値査定はどう扱うのが正解か？」 を売主さん目線で、できるだけ分かりやすくまとめています。

1. 一括査定に「とりあえず高値」を出す会社が存在する理由

一括査定は、複数の不動産会社が同じ売主を取り合う仕組みです。 だからこそ、次のような動きが実際にあります。

• 目を引くために、まず高い数字を出す
• 「この会社いいかも」と感じてもらうための入口づくり

こういった“見せ球査定”は、きれいごと抜きにして存在します。

もちろん全ての会社がそうではありません。

ただし、事実として

「売れる価格」と「売主が喜ぶ価格」は違う

という点は、最初に知っておくべきところです。

2. 高値査定は「良い高値」と「危険な高値」に分かれる

「高い査定額」は、一括りにして判断してしまうと危険です。

実際には大きく2種類に分かれます。

① 市場を正しく読んだ“本当に狙える高値”

周辺の成約事例・競合物件・買い手の動きなどを踏まえたうえで、

「この価格なら勝負できる」と判断された高値査定です。

こういった査定は、売主様にとって好ましいことです。

② 根拠が弱い“盛っただけの高値”

説明が曖昧で「まずはこの金額で様子を見ましょう」というパターン。

これは売却の長期化につながりやすいです。

数字の高さではなく、その背景にある論理で見極めることが大切です。

3. 高値査定の本当のリスクは「売れ残り」

売主さんにとって一番つらいのは、金額そのものよりも、

“売れない期間が長引くこと”です。

ポータルサイトでは、売り出し期間が見えてしまいます。

長く残っている物件は、買い手からこう見られがちです。

• 「何か事情がある物件なのかな？」
• 「強気の価格だから今は買わなくていいや」

その結果、

高値スタート → 注目されない → 値下げを繰り返す → 最終的に相場以下で成約

というルートに落ち込んでしまうこともあります。

これは、できる限り避けたいパターンです。

4. 一方で「高値スタートが正解」になるケースもある

とはいえ、高値スタートがすべて悪いわけではありません。

現場で成功しているパターンには、いくつか共通点があります。

• 競合物件がほとんど出ていないタイミング
• 買い手の多いエリア
• 築浅で、建物・管理状態が良い
• 投資需要が強い市況のとき

こうした条件がそろっている場合は、 戦略としての高値スタートは十分に“あり”です。

高値査定を否定するのではなく、 その価格が理屈として成立しているかどうか。

ここが判断のポイントになります。

5. 高値査定が“本物”か見抜ける3つの質問

査定額そのものより、 担当者がどれだけ市場を理解しているかを見てください。

①「この価格の根拠を成約事例ベースで説明できますか？」

成約事例や現在の売り出し事例をもとに、 具体的に説明できるかどうかを確認します。

ここが曖昧な場合は要注意です。

②「3ヶ月以内に売れる確率はどのくらいですか？」

この質問に対して、「◯割くらい」「そのためにはこういう条件が必要です」といった形ではっきり答えられる会社は、相場感があります。

③「売れない場合、どのタイミングで調整しますか？」

売れないときの価格調整のタイミングや幅、「どの指標を見て判断するか」まで話せる会社は、出口戦略まで考えています。

この3つを聞くだけで、査定の信頼度はかなり見抜けます。

6. 一括査定の正しい使い方

一括査定は、複数の会社の考え方や数字を一度に比較できるという点で、とても便利な仕組みです。

ただし、使い方を間違えると、かえって判断を誤らせる原因にもなります。

• いちばん高い数字に飛びつかない
• 「その価格になった理由（根拠）」を必ず確認する
• 数字ではなく、担当者の説明の質で会社を見る

これだけでも、売却の失敗リスクはかなり下げられます。

売却は「数字だけの勝負」ではなく、 「戦略」と「誰と一緒に進めるか」の勝負です。

7. まとめ｜高値査定は扱い方次第で強力な武器になる

高値査定は、罠にも武器にもなります。

大事なのは、その数字が市場の現実と本当に整合しているかどうか。

そして、物件の価値を正しく理解し、 根拠ある戦略を示してくれるパートナーと組めるかどうか。

数字だけに振り回されず、 「この人とならきちんと判断していける」と思える会社を選ぶこと。

それが、売却を成功に近づけるいちばんの近道だと考えています。