売却が長期化する理由|なぜ「出しているのに売れない」のか
「もう半年以上、売りに出しているんですけど……」
売却相談で、この言葉を聞くことは珍しくありません。
でも、話を一通り伺って、物件を見て、資料を見ていくと、 長期化する理由は、だいたい決まっています。
この記事では、 売却が長引く“よくある原因”と、実際に現場で見てきた話を整理します。
特に、空き家の場合に必ず押さえてほしいポイントも、はっきり書きます。
売却が長期化する一番の理由は「価格」…だけじゃない
「売れない=価格が高い」
これは半分正解で、半分は違います。
確かに相場とかけ離れていれば売れません。 ただ、相場内なのに売れない物件も、実際には多い。
その差を分けているのは、“見え方”と“準備”です。
理由① 最初の売り出しでつまずいている
売却は、最初の1〜2か月が勝負です。
ここで反響がないと、その後は一気に動きが鈍くなります。
- 強気すぎる価格設定
- 根拠が曖昧な査定
- 「とりあえず出してみましょう」スタート
こうなると、 市場に「売れ残り」の印象だけが残る。
価格を下げても、 「前から出てる物件だよね」と思われてしまう。
理由② 写真・資料で損をしている
物件の問い合わせは、ほぼネットが入口です。
つまり、 最初に見られているのは“物件そのもの”ではなく写真。
- 暗い
- 雑然としている
- 生活感が強すぎる
これだけで、内覧候補から外されます。
現地を見れば悪くないのに、 そこまで辿り着いていないケース、かなり多いです。
理由③ 空き家なのに「何もしていない」
ここ、かなり重要です。
空き家=誰も住んでいない=楽、 ではありません。
むしろ逆で、空き家ほど“手を入れないと一気に印象が落ちる。
空き家の場合、これは最低限マスト
- 清掃
- 通電
- 換気
これ、どれか一つ欠けてもダメです。
清掃されていない空き家
ホコリ、虫、ニオイ。
買主様は、 「この家、大丈夫かな?」 という不安からスタートします。
第一印象でマイナスになると、 価格以前の問題になります。
通電されていない空き家
照明がつかない。
それだけで、部屋は暗く、寒々しく見えます。
さらに、
- 給湯器が動くか分からない
- 設備確認ができない
買主様の不安は増える一方です。
換気されていない空き家
これが一番、あとから効いてきます。
湿気、カビ、こもった空気。
築年数以上に、 「傷んでいる家」という印象を与えます。
理由④ 「いつでも内覧できる」状態になっていない
売れない物件ほど、
- 内覧調整に時間がかかる
- 鍵の所在が曖昧
こうなっています。
買主様は、他にも物件を見ています。
一回テンポがずれると、そのまま流れる。
理由⑤ 売主様が「現実」を知らないまま進んでいる
これは厳しい言い方になりますが、大事なところです。
・思い出 ・購入時の価格 ・近所の噂
これらは、市場では評価されません。
評価されるのは、
- 今の需要
- 今の相場
- 今の状態
ここを整理できないまま進むと、 売却は長期化します。
まとめ|売却が長引くのは「運」ではない
売れないのは、たまたまじゃありません。
理由は、ほぼ必ずあります。
特に空き家の場合、
- 清掃
- 通電
- 換気
これはやる・やらないの話ではなく、前提条件です。
売却は、 「出せば終わる」ものではありません。
ちゃんと整えて、 ちゃんと見せて、 ちゃんと現実を見る。
それだけで、結果は大きく変わります。
