新潟市でアパートや一棟マンションなどの収益物件を売却するとき、「一般媒介で複数社へ依頼した方がよいのか」「専任媒介で1社へ任せた方がよいのか」「広く公開するべきか、水面下で投資家へ紹介するべきか」と迷うことがあります。
ここで最初に整理したいのは、媒介契約の種類と、物件情報をどこまで公開するかは別の問題だということです。
一般媒介でも広告を限定することはできますし、専任媒介でもREINSや他の不動産会社を通じて広く買主を探すことができます。
また、本記事でいう「公開販売」と「水面下販売」は法律上の媒介契約の種類ではありません。
本記事では、
- 公開販売:ポータルサイト、自社サイト等の一般向け広告も活用して買主を探す方法
- 水面下販売:一般向け広告を抑え、投資家・法人・不動産会社等への個別紹介を中心に買主を探す方法
という意味で使用します。
収益物件の売却では、契約名だけを見るのではなく、誰が販売戦略を管理し、誰へ、どこまで、どの順番で情報を届けるのかまで確認することが重要です。
この記事では、新潟市の収益物件売却について、一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の違いと、公開販売・水面下販売をどう組み合わせて考えるかを整理します。
先に結論|媒介契約は「何社に頼めるか」だけで選ばない
一般媒介だから広く売れる、専任媒介だから高く売れる、という単純な関係はありません。
収益物件では、次の4点を確認して媒介契約を選ぶ方が実務的です。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 販売戦略 | 誰を買主として、どの価格・順番で販売するか |
| 情報管理 | レントロール・修繕・契約情報を誰が一元管理するか |
| 情報流通 | その物件を評価できる買主へ十分に情報が届くか |
| 販売検証 | 買主の反応を集め、価格・販売方法を見直せるか |
収益物件では、レントロール、賃貸借契約、修繕、空室、管理、融資など多くの情報を扱います。
そのため、正確な情報を管理しながら、購入可能性のある買主へ十分に情報を届けられる体制かという視点で考えることが重要です。
媒介契約と販売方法は別々に決める
| 決めること | 内容 |
|---|---|
| 媒介契約 | 一般媒介・専任媒介・専属専任媒介のどれで不動産会社へ依頼するか |
| 販売方法 | 一般向け広告を行うか、個別紹介を中心にするか、どの順番で買主を探すか |
特に重要なのが、REINSへの登録と、一般向けWeb広告は同じではないという点です。
REINSは宅地建物取引業者間で物件情報を共有する仕組みです。
一方、SUUMOやアットホーム、自社サイト等への掲載は一般の購入希望者も見る広告です。
そのため、専任媒介でREINSには登録しながら、一般向けWeb広告は行わず、投資家や法人への個別紹介を中心に販売する方法も考えられます。
一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の違い
| 項目 | 一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 |
|---|---|---|---|
| 複数社への依頼 | 可能 | 不可 | 不可 |
| 売主自身が見つけた買主との取引 | 可能 | 可能 | 不可 |
| REINS登録 | 法定義務なし 任意登録は可能 |
義務あり | 義務あり |
| REINS登録期限 | - | 契約締結日の翌日から7日以内 | 契約締結日の翌日から5日以内 |
| 法定の業務状況報告 | なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
専任媒介・専属専任媒介のREINS登録期限には、不動産会社の休業日は含まれません。
一般媒介には法律上のREINS登録義務はありませんが、一般媒介でもREINSへ登録することはできます。
制度上の違いはありますが、収益物件売却では、契約種類だけで販売結果が決まるわけではありません。
一般媒介が向いているのは、複数社の販売活動を管理できる場合
一般媒介は、複数の不動産会社へ同時に売却を依頼できます。
例えば、
- 各社が異なる投資家ネットワークを持っている
- 複数の販売ルートから同時に買主を探したい
- 売主様自身が各社の販売活動を把握・管理できる
場合には選択肢になります。
一方、収益物件では情報管理に注意が必要です。
複数社へ依頼した結果、
- 会社ごとに違うレントロールが使われる
- 修繕履歴の説明が違う
- 販売価格や契約条件が統一されていない
- 同じ買主へ複数社から違う説明が届く
状態になると、買主から見た情報の信頼性が下がります。
一般媒介を利用する場合は、各社へ同じ資料・価格・開示方針を共有することが重要です。
専任媒介は「販売戦略と情報を一元管理する」ために使う
専任媒介では、売却を依頼する不動産会社を1社に絞ります。
収益物件では、
- レントロール
- 賃貸借契約
- 空室・滞納
- 修繕履歴
- 管理契約
- 買主からの質問
- 融資状況
- 価格交渉
など多くの情報を扱うため、販売窓口を一元化するメリットがあります。
ただし、専任媒介だから良いという意味ではありません。
一社へ任せた結果、その会社の既存顧客にしか紹介されず、他の不動産会社が持つ購入希望者へ情報が届かなければ、売主様にとって不利益になる可能性があります。
専任媒介の価値は情報を独占することではなく、1社が販売戦略と情報を管理しながら、市場へ適切に流通させることにあります。
専属専任媒介は「売主自身が見つけた買主とも直接契約できない」
専属専任媒介も、売却を依頼できる不動産会社は1社です。
専任媒介との大きな違いの一つは、売主様自身が見つけた買主と直接売買契約を締結できないことです。
また、業務状況の報告頻度は1週間に1回以上となります。
すでに相談している投資家や法人がいる場合や、売主様自身のネットワークから買主が見つかる可能性がある場合には、この点も確認してから選ぶ必要があります。
専属専任媒介だから優れている、あるいは避けるべきという話ではありません。
不動産会社へどこまで販売活動を任せるのかによって判断します。
公開販売は「一般向け広告を使って買主層を広げる」方法
本記事でいう公開販売とは、REINSによる業者間流通に加えて、ポータルサイト、自社サイト、投資家向け媒体等の一般向け広告も活用して買主を探す方法です。
公開販売のメリットは、売主様が当初想定していなかった買主へ情報が届く可能性があることです。
収益物件は、
- 個人投資家
- 法人投資家
- 資産管理会社
- 地元不動産会社
- 再生事業者
- 土地利用を考える事業者
など、買主によって評価方法が違います。
幅広く情報を届けることで、異なる視点から物件を評価する買主が見つかる可能性があります。
一方で、公開するほど良いわけではありません。
価格、レントロール、修繕状況等の説明が不十分な状態で広く販売すると、問い合わせが増えても具体的な検討へ進まないことがあります。
水面下販売は「REINSへ載せないこと」ではない
本記事でいう水面下販売とは、ポータルサイトや自社サイト等への一般向け広告を抑え、購入可能性のある投資家・法人・不動産会社等への個別紹介を中心に販売する方法です。
水面下販売=REINSに登録しない、という意味ではありません。
専任媒介・専属専任媒介ではREINSへの登録義務があります。
REINSへ登録すると宅地建物取引業者間では物件情報が流通しますが、それと一般消費者向けWeb広告を行うかどうかは別の判断です。
したがって、
- REINSへは登録する
- 一般向けポータルには掲載しない
- 対象となる投資家・法人へ個別に紹介する
- 詳細資料は具体的な検討段階で開示する
という販売方法も考えられます。
収益物件は、情報を段階的に開示する方法もある
入居者がいる収益物件では、すべての情報を最初から一般公開する必要はありません。
例えば、最初の段階では、
- エリア
- 価格
- 築年数・構造
- 戸数
- 収入の概要
- 表面利回り
などを提示します。
具体的に検討する買主に対して、
- 詳細なレントロール
- 賃貸借契約
- 敷金・保証金
- 滞納
- 修繕履歴
- 管理契約
- 建築関係資料
などを追加で開示する方法があります。
入居者氏名や連絡先などの個人情報については、一般向け資料へ安易に掲載せず、必要性や検討段階に応じて適切に取り扱います。
重要なのは情報を隠すことではありません。
買主が判断する段階に合わせて、必要な情報を適切に開示することです。
水面下販売が向いているケース
例えば、次のような場合には、最初に買主層を絞って紹介する方法を検討できます。
- 一般向けに売却情報を大きく出したくない
- 入居者や管理運営への影響に配慮したい
- 特定の投資家層に向いた物件である
- 築古・空室・修繕などに再生ノウハウが必要
- 法人・不動産会社へ先に紹介したい
- 土地利用まで考えられる買主へ打診したい
ただし、「水面下で動いています」という言葉だけで十分な販売活動が行われているとは判断できません。
売主様として確認したいのは、
- どの買主層へ紹介したのか
- 具体的に何件程度の打診をしたのか
- どのような反応があったのか
- 価格のどこを難しいと見られているのか
- 融資でどのような問題が出ているのか
という実際の販売状況です。
水面下販売だけを続けると、価格の妥当性を比較しにくくなる
個別紹介にはメリットがありますが、紹介先を限定しすぎると条件比較が難しくなります。
例えば特定の1社・1人だけへ長期間紹介している場合、その提示価格が市場の中で良い条件なのか判断しにくくなります。
収益物件は、個人投資家、法人、再生事業者、土地利用を考える買主などによって評価が変わります。
そのため水面下販売を行う場合でも、
- 最初にどこまで買主候補へ打診するのか
- どの反応を基準に買主層を広げるのか
- いつ一般向け公開へ切り替えるのか
を考えておきます。
水面下販売は販売範囲を狭く固定する方法ではなく、販売範囲を段階的に広げるための選択肢として使う方が合理的な場合があります。
他社広告を許可しないことと「囲い込み」は同じではない
不動産会社によっては、他社によるポータルサイト等への広告掲載を認めない販売方針を取る場合があります。
これだけで、直ちに囲い込みと判断できるものではありません。
他社へ広告掲載を許可するかどうかと、他の不動産会社が連れてくる購入希望者へ物件を紹介するかどうかは別の問題だからです。
問題なのは、自社で売主様・買主様双方を仲介することを目的として、売主様の意向に反して他社の購入希望者への紹介を意図的に拒否するような状態です。
弊社では、「両手取引だから悪い」「片手取引だから良い」と単純には考えていません。
重要なのは、売主様の知らないところで情報が止まらず、その物件を購入できる買主へ適切に情報が届くことです。
専任媒介では、他社の買主へ情報が届いているか確認する
専任媒介を選ぶ場合には、販売戦略の一元管理と引き換えに、不動産会社1社へ販売窓口を任せることになります。
そのため、
- 他社から物件確認が入った場合に紹介しているか
- 他社からの資料請求へ対応しているか
- 他社の買主から購入申込みが入った場合に売主へ報告しているか
- 一般向け広告を行わない場合でも、どの範囲へ情報を流しているか
を確認します。
専任媒介の価値は情報を自社だけで抱えることではなく、情報を一元管理しながら市場全体へ適切に流通させることにあります。
REINSの取引状況は、売主自身でも確認できる
専任媒介・専属専任媒介でREINSへ登録された物件では、売主様自身が登録内容や取引状況を確認できます。
2025年1月からは、宅地建物取引業者に対してREINSへ物件の取引状況を登録することが義務付けられています。
売主専用画面では、取引状況について、
- 公開中
- 書面による購入申込みあり
- 売主都合で一時紹介停止中
のいずれになっているか確認できます。
不動産会社から交付されるREINSの登録証明書に記載された情報から、売主専用画面へアクセスできます。
もし、自分では紹介停止を依頼していないのに「売主都合で一時紹介停止中」となっている場合には、依頼している不動産会社へ確認した方がよいでしょう。
囲い込みを防ぐためには、不動産会社へ質問するだけでなく、売主様自身が販売状況を確認できる仕組みを利用することも有効です。
販売活動報告では「問い合わせ件数」より、買主が止まった理由を見る
専任媒介・専属専任媒介では、定期的な業務状況報告が義務付けられています。
ただし、
「問い合わせ3件でした」
だけでは、次の販売判断には十分ではありません。
確認したいのは、
- どのような買主が検討したのか
- どこで検討が止まったのか
- 価格への反応はどうだったのか
- 収益性をどう評価されたのか
- 融資条件はどうだったのか
- 空室・修繕について何を指摘されたのか
- どの価格・条件なら購入可能なのか
です。
販売活動報告の目的は、不動産会社が活動したことを示すことではなく、売主様が次の販売判断をする材料を増やすことだと弊社は考えています。
公開販売と水面下販売は、途中で切り替えてよい
販売方法は、最初に決めた方法を最後まで続けなければならないものではありません。
例えば、
- 最初に購入可能性の高い投資家・法人へ個別紹介する
- 価格・融資・修繕への反応を確認する
- 想定した条件で具体的な検討が進まなければ買主層を広げる
- 必要に応じて一般向け広告を開始する
という段階的な販売も考えられます。
逆に、最初から公開販売を行い、市場の反応を見ながら特定の買主層への個別提案を強める方法もあります。
公開か水面下かを固定するのではなく、市場の反応に応じて情報を届ける範囲を調整することが重要です。
媒介契約前に確認したい10の質問
- この物件を最も評価しそうな買主は誰ですか?
- なぜ一般媒介・専任媒介・専属専任媒介のうち、その契約を提案しますか?
- 最初は公開販売と個別紹介のどちらを中心に進めますか?
- 水面下販売の場合、具体的にどの買主層へ紹介しますか?
- REINS以外にどの販売チャネルを使いますか?
- 他の不動産会社から問い合わせがあった場合はどう対応しますか?
- レントロール等の詳細資料はどの段階で開示しますか?
- 販売活動報告では何を報告してもらえますか?
- 想定した反応がなければ、何をどの順番で見直しますか?
- 購入申込みが複数入った場合、価格以外にどの条件を比較しますか?
この質問に具体的に答えられる会社であれば、媒介契約を取ることだけではなく、その後の販売まで考えているかを判断しやすくなります。
迷ったら「契約名」ではなく、誰が販売設計を管理するかで考える
一般媒介にも専任媒介にも、それぞれメリットと注意点があります。
一般媒介でも、各社へ正確な情報が共有され、売主様が販売活動を管理できれば有効です。
専任媒介でも、他社の買主へ情報が届き、市場の反応が売主様へ共有されれば有効です。
反対に、
- 一般媒介で情報がバラバラになる
- 専任媒介で情報が一社の中に止まる
のであれば、それぞれの契約のメリットを十分に生かせません。
媒介契約は「何社へ依頼できるか」だけではなく、販売戦略・物件情報・買主対応を誰が責任を持って管理するかを決めるものとして考えると分かりやすくなります。
まとめ|収益物件の媒介契約は「情報の流れ」まで確認して選ぶ
新潟市で収益物件を売却するとき、一般媒介・専任媒介・専属専任媒介のどれが常に正解ということはありません。
確認したいのは、
- 誰が販売戦略を管理するのか
- どの買主層を狙うのか
- どこまで一般公開するのか
- 詳細情報をどの段階で開示するのか
- 他社が持つ買主へ情報が届くのか
- 販売状況をどのように報告するのか
- 市場の反応に応じていつ販売方法を変えるのか
です。
公開販売と水面下販売も二者択一ではありません。
最初は特定の買主へ個別に紹介し、その反応を確認したうえで一般公開へ広げるなど、段階的に販売する方法もあります。
また、他社広告を許可しないことと、他社の購入希望者への紹介を拒否することも同じではありません。
弊社では、両手取引・片手取引という形式そのものより、売主様の知らないところで情報が止まらず、その物件を評価し購入できる買主へ適切に情報が届き、売主様自身も販売状況を把握できることが重要だと考えています。
媒介契約は契約名だけではなく、その後の販売設計と情報の流れまで確認して選ぶことをおすすめします。
新潟市で収益物件の媒介契約・販売方法を相談したい方へ
竹鼻不動産事務所では、新潟市のアパート・一棟収益物件について、一般媒介・専任媒介といった契約形態だけではなく、想定する買主、公開範囲、REINS、投資家への個別紹介、情報開示の順番、販売活動報告、販売方法の見直しまで整理しながらご提案しています。
「一般媒介と専任媒介のどちらがよいか迷っている」「一般向け広告を抑えて売却したい」「最初は投資家へ個別に紹介したい」「他社が持つ買主にもきちんと情報を届けてほしい」といった段階でも問題ありません。
契約種類を決める前に、今回の物件を誰に、どこまで、どの順番で販売するのが合理的かを整理していただければと考えています。
