コラム
2024.08.19 不動産売却時に必要な書類と入手方法をまとめて解説
不動産を売却する際、手放す予定の不動産の種類やその売却方法によって、必要な書類が異なります。書類のなかには準備に時間がかかるものもあります。初めての不動産売却を円滑に進められるよう、本記事を確認しながら準備していきましょう。
最後にすぐに確認できる一覧もご用意しましたので、ぜひお役立てください。
不動産売却に必要な書類は?カテゴリー別に紹介
不動産会社に売却を依頼する手続きから不動産の引き渡しまでに必要とされる書類は、「売主に関連する書類」「権利に関連する書類」「土地に関連する書類」の3パターンがあります。
パターン1:売主に関連する書類
身分証明書、印鑑証明書(および実印)、住民票など売主本人を確認する書類です。売却予定の不動産が、親子や兄弟などで共有名義となっている場合は、共有者全員のものが必要です。印鑑証明書、住民票は市区町村の窓口で取得できます。
注意点は以下の3つです。
- 共有者が遠方在住の場合、書類を揃えるのに時間がかかるケースがある
- 住民票は、登記上の住所と現住所が異なる場合に必要となる
- 住民票や印鑑証明書の有効期限に気を付ける(発行から3ヶ月以内)
パターン2:権利に関連する書類
これは登記済権利証または登記識別情報のことです。登記済権利証とは、不動産取得時に法務局から登記名義人に交付される書類で、登記名義人がその不動産の真の所有者であると証明する書類です。
売却する不動産が2005年以降に取得したものであり、登記済権利証の代わりに登記識別情報が発行されている場合は、登記識別情報を準備します。
これらは、不動産を名義変更する際に必要な重要な書類です。もし紛失した場合は、本人確認のために法務局が郵送にて問い合わせを行う「事前通知」を利用することで名義変更の手続きが可能です。
パターン3:土地に関連する書類
一戸建てや土地の売買において必要となる書類で、土地測量図や境界確認書と呼ばれます。土地の面積や境界線の位置などが示されており、どこからどこまでが売却対象なのかを明確にするものです。
境界線を明確にすることで、購入後のトラブルを回避する狙いがあります。
土地測量図を紛失した場合は法務局で取得できます。以下の場合、改めて測量が必要です。
- 代々受け継いできた土地で測量をしていない
- 測量した時期が3年以上前
あらかじめ隣接地の土地所有者と協議を持ち、了解を得て測量図を作成しましょう。
建物・売却方法別の必要書類
売主・権利・土地関係の書類は、不動産の売却において必須の書類です。ここからは、建物を売却する際、一戸建てとマンションそれぞれで必要な書類を解説します。
一戸建ての売却に必要な書類
- 建築確認済証および検査済証
- 建築設計図書
- 工事記録書
建築確認済証とは、その物件が建築基準法に則って建築されていることを証明する書類です。検査済証とは、建築検査により検査基準をクリアしていると確認されたあとに発行される書類です。
いずれの書類も、建物の構造が当時の法律に則って建てられていることを証明するものです。紛失した場合には、市区町村の窓口で、建築確認済証や検査済証の代わりとなる「建築計画概要書」や「建築確認台帳記載事項証明書」を発行してもらいましょう。
また、建築設計図書と工事記録書は建築確認済証のように、法的手続きに関する書類ではありませんが、用意しておくことをおすすめします。これらはどのように設計・工事が行われたかが分かる書類です。
物件の維持管理や将来のリフォームにおいて、買主が物件を検討する材料の一つになります。
マンションの売却に必要な書類
- マンションの管理規約や使用細則
- 議事録
- 長期修繕計画書
管理規約や使用細則は、マンションの管理や使用に関するルールが記載されている書類です。議事録は、管理組合員で行われる総会で話し合われた内容が記載されています。長期修繕計画書は、マンションの大規模修繕や定期点検などの予定が記載されているため、しっかりと管理されているかどうかの指標になるものです。
書類は、マンション取得時に売主や管理会社より交付されています。紛失した場合は管理組合や管理会社に問い合わせてみましょう。
不動産会社に売却を依頼する時に必要な書類
不動産を売却するときは、不動産会社に価格を査定してもらうのが一般的です。次の順番で必要な書類について説明します。
- 不動産会社に査定を依頼する際に用意する書類
- 媒介契約を結ぶ際に用意する書類
不動産会社に査定を依頼する際に用意する書類
査定を依頼する際は、物件の詳細が分かる書類と物件価格の判断材料となる書類を準備します。
- 登記簿謄本
- 物件の図面や設備の仕様書
- 土地測量図・境界確認書
- 固定資産税納税通知書
- ローン残高証明書、あるいはローン返済予定表
媒介契約を結ぶ際に用意したい書類
査定が終わり、依頼する不動産会社が決まったら媒介契約を結びます。不動産会社と媒介契約を結ぶときに必要な書類は、次のとおりです。
- 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
- 印鑑(認印で可)
- 登記済権利証または登記識別情報通知書
また以下の書類は必須ではありませんが、用意することで広告の作成をはじめとした販売活動の準備に役立ちます。
- 建築確認済証または検査済証(戸建て住宅の場合)
- 管理規約や使用細則、議事録、長期修繕計画書(マンションの場合)
- 耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書
- 物件購入時のパンフレット
- 住宅ローンの残高証明書または返済予定表
買主に引き渡しをする時に必要な書類
買主が見つかって売買契約を結び、引き渡しをするときに売主が準備する必要書類は、以下の通りです。
- 本人確認書類
- 印鑑証明書・実印
- 住民票
- 抵当権等抹消書類
- 銀行口座書類など
住民票や印鑑証明などは事前に準備されている場合もあると思いますが、注意点は発行から3ヶ月以内のものでないと証明書として機能しないという点です。期限内の最新のものを用意する必要があります。
また、住宅ローンが残った状態では物件を売ることができません。物件を売ったお金や貯金で、住宅ローンを完済しましょう。買主に引き渡す前に抵当権の抹消を行い、抵当権等抹消書類を準備します。
引き渡し完了時に、売買代金を振り込む銀行口座の通帳や通帳印などを用意しましょう。
不動産売却の必要書類はいつまでに準備するべきか
スムーズに不動産売却を進めるため、事前準備を行いましょう。不動産売却の必要書類を準備するタイミングについてご紹介します。
不動産会社に査定を依頼する前に準備する書類
物件価格の決め手になる書類は査定依頼前に準備します。
- 登記簿謄本
- 物件の図面や設備の仕様書
- 土地測量図、境界確認書
- 固定資産税納税通知書
登記済権利証や、物件の図面、測量図などは物件の正しい情報を伝えるために必要です。また、相場を知るために、固定資産税納税通知書も用意しましょう。不動産会社との交渉に使える書類は早めに準備します。
不動産会社と媒介契約を結ぶ段階で必要な書類
媒介契約前に準備したい書類は以下の通りです。
- 本人確認書類
- 印鑑証明
- 建築確認済証、または検査済証(一戸建て住宅の場合)
- 管理規約や使用細則、議事録、長期修繕計画書(マンションの場合)
- 建築設計図書、工事記録書
- 耐震診断報告書、アスベスト使用調査報告書
- 物件購入時のパンフレット
- ローン残高証明書あるいは、ローン返済予定表
書類によっては、必要となるタイミングや回数はさまざまです。それぞれの書類を漏れなくチェックしましょう。
不動産売却の必要書類一覧
○:必要
△:任意または該当する場合のみ必要となる書類(任意だが準備できればなおよい書類を含む)
×:不要
書類名 |
一戸建て |
マンション |
土地 |
取得方法・場所 |
本人確認書類(身分証明書) |
○ |
○ |
○ |
売主保有 |
住民票 |
△ |
△ |
△ |
市町村役場 |
実印・印鑑証明 |
○ |
○ |
○ |
市町村役場 |
登記簿謄本 |
○ |
○ |
○ |
法務局 |
登記済権利証(登記識別情報) |
○ |
○ |
○ |
売主保有(物件取得時に法務局から交付) |
固定資産税納税通知書 |
○ |
○ |
○ |
市町村役場 |
土地測量図・境界確認書 |
○ |
✖ |
○ |
測量士・土地家屋調査士 |
建築確認済証・検査済証 |
○ |
✖ |
✖ |
市町村役場 |
建築設計図書・工事記録書 |
△ |
✖ |
✖ |
売主保有 |
マンションの管理規約・議事録・長期修繕計画書 |
✖ |
○ |
✖ |
売主保有・マンションの管理会社 |
物件の図面や設備の仕様書 |
△ |
△ |
✖ |
売主保有 |
耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書など |
△ |
△ |
△ |
調査機関 |
住宅性能評価書 |
△ |
△ |
✖ |
評価機関 |
ローン残高証明書、またはローン返済予定表 |
△ |
△ |
△ |
売主保有 |
銀行口座書類 |
○ |
○ |
○ |
売主保有 |
抵当権等抹消書類 |
○ |
○ |
○ |
法務局 |
物件購入時の契約書・重要事項説明書など |
△ |
△ |
△ |
売主保有 |
物件購入時のパンフレットおよび広告資料 |
△ |
△ |
△ |
売主保有 |
まとめ|不動産の売却・購入は不動産の専門家に相談を
不動産の売却時には数多くの書類が必要となります。住民票などの馴染み深いものから、検査証や登記に関する書類など、聞き慣れないものもたくさんありますよね。
事前にどんな書類が必要なのか知っているだけでも準備をスムーズに行えます。今、手元に用意できる書類がいくつあるのか確認しながら、不足している書類を準備していきましょう。
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