実家の相続には相続税がかからない?非課税の理由や計算方法を解説
実家の相続で相続税がかかるかどうかは、「家の価格」だけでは決まりません。まずは遺産全体の総額を把握し、基礎控除を超えるかどうかを見る――ここが出発点になります。
「うちは実家しかないから大丈夫だと思うんです」
実際のご相談でも、こうした声は少なくありません。ただ、預貯金や保険金、過去の贈与まで含めると、思っていたより総額が膨らむこともあります。逆に、想像よりも少なく、申告不要で終わるケースもあります。
この記事では新潟市の竹鼻不動産事務所が、実家の相続税が「かからない」と言われる理由と、計算の流れ、使える特例について整理します。
実家の相続で相続税がかからないと言われる理由
相続税はすべての人に課税されるわけではありません。国税庁の公表データを見ると、亡くなった方のうち実際に相続税を申告しているのは全体の1割弱とされています。
数字だけ見ると「ほとんどの人は払っていない」と感じるかもしれません。ただしこれは、基礎控除の範囲内に収まっている人が多いという意味です。
相続税は次の式で考えます。
- 遺産総額 - 基礎控除 = 課税遺産総額
実家の評価額が控除内であれば税金はかかりません。しかし、預貯金や生命保険金を合算すると超えるケースもあります。「家だけ見て判断する」のは少し危険です。
実家の相続税|まず押さえたい基礎知識
相続税は“総額”で見る
相続税は、実家だけにかかる税金ではありません。現金、有価証券、自動車、保険金などをすべて合算します。
| プラスの財産 | マイナスの財産 |
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マイナスの財産も差し引けます。借入が多い場合、結果的に課税対象が小さくなることもあります。
Q:遺産がマイナスなら?
A:相続放棄を検討する選択肢もあります。ただし期限は3か月。迷っているうちに過ぎることもあるため注意が必要です。
基礎控除は人数で変わる
基礎控除額は次の計算式です。
3,000万円+600万円×法定相続人の数
相続人が多いほど控除は増えます。
ただし、「相続放棄した人も人数に含める」「養子の人数には制限がある」など細かなルールがあります。戸籍を出生まで遡る作業は、想像以上に手間がかかるものです。
実家の相続税の計算の流れ
計算は次の順で進みます。
- ① 遺産総額を出す
- ② 基礎控除を引く
- ③ 法定相続分で仮計算
- ④ 実際の分割割合で按分
ややこしく見えますが、順番に分解すれば理解できます。
法定相続分の考え方
| 相続人 | 法定相続分 | |
| 子がいる | 配偶者 | 1/2 |
| 子 | 1/2(人数で分ける) | |
| 子がいない | 配偶者 | 2/3 |
| 父母 | 1/3 | |
一度法定割合で計算し、最後に実際の分割割合に応じて税額を振り分けます。
ここで迷う方が多いのは、「実家を長男が相続し、預金は兄弟で分ける」といったケース。評価額の差がそのまま税負担の差になります。
実家の相続税評価額の調べ方
実家の税額を知るには、まず評価額を出します。土地と建物は別々に計算します。
土地の評価方法
- 路線価方式
- 倍率方式
市街地では路線価方式が一般的です。
地積 × 路線価 × 持分
路線価は国税庁の財産評価基準書で確認できます。
一方、路線価がない地域では倍率方式です。
固定資産税評価額 × 倍率 × 持分
固定資産税評価額は納税通知書に記載されています。評価替えは3年ごと。思っているより低く出ることもあれば、逆に高いと感じることもあります。
建物の評価額
建物は固定資産税評価額がそのまま相続税評価額になります。
築年数が古い戸建ては評価が低くなる傾向があります。ただし、リフォームしていても評価に直接反映されないこともあります。
実家相続で使える特例・控除
小規模宅地等の特例
| 区分 | 限度面積 | 減額割合 |
| 特定居住用宅地 | 330㎡ | 80% |
| 事業用宅地など | 400㎡ | 80% |
同居していた配偶者や親族が引き続き住む場合、土地評価を大幅に下げられる可能性があります。
Q:別居していた子どもは使えない?
A:一定の要件を満たせば適用できるケースもありますが、ハードルはやや高めです。
配偶者の税額軽減
配偶者が取得する財産は、1億6,000万円または法定相続分まで非課税です。
ただし、二次相続(配偶者が亡くなった後)で税負担が増えることもあります。目先の税額だけで判断しないほうが良い場面もあります。
空き家の3,000万円特別控除
実家を相続後に売却する場合、譲渡所得から最大3,000万円控除できる制度です。
昭和56年5月31日以前築などの条件があります。解体が必要な場合もあるため、売却前に確認しておくと安心です。
相続税が不安なときの考え方
相続税は「払うか・払わないか」の二択ではありません。
・申告は必要だが納税額はゼロ
・特例を使えば軽減できる
・売却して現金化することで対応できる
選択肢はいくつもあります。
現場では、「もっと早く相談していれば」と言われることもあります。実家の相続は、税金だけでなく、住むのか売るのかという判断も絡みます。時間が経つほど難しくなることもあるため、早めに全体像を把握することが安心につながります。

