不動産売却の営業トーク|その言葉、本当に信じて大丈夫?現場目線を正直にお話しします
不動産を売ろうとすると、 ほぼ確実に「営業トーク」に出会います。
「今が一番高く売れます」 「すでに買いたい人がいます」 「この価格でいけます、大丈夫です」
売主様からすると、 どこまでが本音で、どこからが営業なのか分からない というのが正直なところだと思います。
私は不動産業界の中にいる人間ですが、 この違和感はごく自然だと思っています。
この記事では、
- 不動産売却でよくある営業トーク
- 本当の意味で「信じていい言葉」「注意すべき言葉」
- 売主様が営業トークに振り回されない考え方
を、 現場目線で、できるだけ正直にお話しします。
不動産売却で営業トークが多くなる理由
まず前提として。
不動産売却は、 「契約が取れなければ始まらない仕事」です。
どんなに誠実な会社でも、 媒介契約を結ばなければ仕事になりません。
そのため、
売主様に選んでもらうための言葉
がどうしても増えます。
ここを理解しておかないと、 「だまされた」「話が違う」という感情になりやすい。
営業トーク自体が悪なのではなく、 構造としてそうなりやすい というだけです。
よくある不動産売却の営業トークと、現実
①「今が一番高く売れるタイミングです」
これは、 半分本当で、半分営業です。
市場状況として、
- 金利が低い
- 物件数が少ない
- 買い手が多い
こういう時期は、 確かに売りやすい。
ただし、
「あなたの物件が、いくらで、どれくらいで売れるか」
とは別の話です。
本当に信じていいかどうかは、
- どの事例を根拠に言っているか
- 売れなかった場合の次の手を考えているか
ここまで説明できるかで判断してください。
②「すでに買いたい人がいます」
これも非常によく聞きます。
注意したいのは、
「本当にその人は今すぐ買うのか?」
という点。
実務では、
- 条件が合えば検討する人
- 過去に似た物件を探していた人
- 価格次第で動くかもしれない人
これも全部「買いたい人がいる」に含まれます。
嘘ではないけれど、 確定情報でもない。
「その方は、いくらなら買うと言っていますか?」 この一言で、だいたい温度感が分かります。
③「この価格でいけます。大丈夫です」
売主様が一番安心したくなる言葉です。
ただ、ここで見るべきなのは、
- 過去の成約事例とどう比べているか
- 反響がなかった場合の値下げ想定
- 売却までの期間イメージ
この説明がない「大丈夫です」は、 正直、危ない。
大丈夫かどうかは、市場が決めます。
不動産会社が決めるわけではありません。
営業トークに振り回されやすい売主様の特徴
これは売主様の責任ではありませんが、 傾向はあります。
- できるだけ高く売りたい気持ちが強い
- 売却期限が決まっていない
- 数字よりも「安心感」を求めてしまう
こういう状態だと、 気持ちのいい言葉 を選びやすくなります。
だからこそ、
「不安を消す言葉」ではなく「不安を整理する説明」
をしてくれる会社を選んだ方が、 結果的に楽です。
信じていい営業トークの特徴
逆に、 現場で見ていて「この人は信用できるな」と感じるのは、
- いい話と同時に、悪い話も出てくる
- 数字の根拠が具体的
- 売れなかった場合の話を先にする
こういう担当者です。
「この価格で出しましょう。ただ、 2か月反響がなければ、このラインまで落とします」
こういう話ができる人は、 売却を“感情”ではなく“プロセス”で見ています。
営業トークを見抜くために、売主様ができること
難しいことは不要です。
次の3つだけ、意識してください。
- 「なぜそう言えるのか?」を聞く
- 「売れなかったらどうするか?」を聞く
- 「自分だったらどう売るか?」を聞く
ここで言葉に詰まる担当者は、 そのトーク自体が営業寄りです。
まとめ|営業トークを「見抜く」より「使いこなす」
不動産売却に営業トークはつきものです。
完全になくすことはできません。
大事なのは、
その言葉を信じるかどうかを、自分で判断できる状態になること
です。
査定額や営業トークに気持ちが動いたときほど、 一歩引いて、
「この話、数字と手順で説明できているか?」
と考えてみてください。
それができれば、 不動産売却はかなり冷静に進められます。
営業トークに乗せられる売却ではなく、 納得して決めた売却を。
