新潟市でアパートを売却するとき、「仲介で投資家を探した方が高く売れるのか」「不動産会社に買い取ってもらった方がよいのか」と迷うオーナー様もいると思います。
一般的には、仲介は市場で買主を探すため価格を追求しやすく、買取は買主となる不動産会社等と直接条件を調整しやすい売却方法です。
ただし、アパート売却では「仲介の方が高い」「買取は安い」と価格だけで比較すると判断を誤ることがあります。
仲介で販売している間にも家賃収入は入りますが、ローン返済、空室、修繕、管理、固定資産税などの負担も続きます。
また、現在提示されている仲介査定額で、半年後に必ず売れるわけでもありません。
一方で、買取価格が仲介で想定する成約価格より低くても、売却時期や契約条件を整理しやすく、空室・修繕・管理のリスクを早い段階で切り離せる場合があります。
つまり、比較したいのは査定額の差ではありません。
「いくらで売れる可能性があるか」「いつ売れるのか」「売れるまでに現金がいくら増減するのか」「決済時にいくら残るのか」「今後どのようなリスクを負うのか」を同じ表に並べる必要があります。
この記事では、新潟市の一棟アパートを売却する場合に、仲介と買取を価格・手残り・期間・修繕・空室・契約条件の観点から比較します。
この記事の結論
| 価格を優先したい | 市場で投資家を探す仲介をまず検討しやすい |
|---|---|
| 売却時期を優先したい | 買取も比較対象に入れる意味がある |
| 空室・修繕リスクが大きい | 仲介で待つ間の収支と、現在提示される買取条件を比較する |
| 仲介価格と買取価格の比較 | 査定額ではなく、成約見込み価格・売却費用・保有中の収支・残債・税金まで分けて考える |
| 買取なら必ず簡単か | そうとは限らない。融資、調査、契約不適合責任、引渡し条件等は買主ごとに異なる |
| 最も重要なこと | 仲介か買取かを先に決めず、両方の条件を同じ基準で比較する |
アパート売却の仲介と買取は何が違う?
仲介と買取の大きな違いは、「誰が買主になるのか」です。
| 比較項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 買主 | 個人投資家、法人、不動産会社など市場から探す | 不動産会社、投資会社、事業者等が直接買主になる |
| 価格 | 条件が合えば市場で価格を追求しやすい | 買主側の保有・修繕・再販売等のリスクが価格へ反映される |
| 売却期間 | 買主が見つかるまで確定しない | 条件が合えば売却時期を整理しやすい |
| 販売方法 | 公開販売・限定販売・水面下販売などを検討する | 特定の買主との交渉だけで進められる場合がある |
| 仲介手数料 | 仲介会社を通じて成約した場合は発生する | 売主と買取会社が直接取引し、別の仲介会社を介さなければ原則発生しない |
| 契約条件 | 買主ごとに融資・引渡し・修繕等を調整する | 価格とあわせて引渡し時期・責任範囲等を提示してもらいやすい |
仲介と買取は、どちらが優れているという関係ではありません。
売主様が価格・期間・確実性・今後のリスクのどこを重視するかによって、合理的な選択は変わります。
仲介の査定額と買取価格は「確度」が違う
仲介と買取を比較するときに、最初に分けたいのが「査定額」と「購入価格」です。
仲介査定は、「現在の市場ならこの価格帯で買主を探せるのではないか」という販売開始時点の仮説です。
査定額そのものを不動産会社が保証しているわけではありません。
さらに、
- 査定価格
- 売出価格
- 実際に見込まれる成約価格
は同じとは限りません。
一方、買取価格は、買主となる不動産会社等が物件調査や条件確認を行ったうえで、「この条件なら購入する」と提示する価格です。
そのため、高い仲介査定額と確定に近い買取提示額だけを並べると、買取価格が必要以上に低く見えることがあります。
比較するときは、
- 仲介の想定成約価格
- その価格で売れるまでの想定期間
- 現在の買取提示額
- 双方の契約条件
を分けて確認した方がよいです。
アパートの査定価格については、新潟市でアパート売却の査定価格はどう決まる?利回り・積算・融資・出口の見方でも詳しく整理しています。
仲介と買取は「2つの計算」に分けて比較する
収益アパートでは、すべてをひとつの「手残り計算」にすると分かりにくくなります。
弊社では、少なくとも次の2つに分けて考えます。
1.売れるまでの保有中キャッシュフロー
仲介で販売する場合、買主が決まるまで賃貸経営は続きます。
保有中の現金増減 = 家賃等の収入 − 管理費・修繕費・借入返済・税金等の支出
ただし、借入返済のうち元金部分は単純な経費ではありません。
手元現金は減りますが、その分ローン残債も減るため、売却時の手残りにも影響します。
2.売却時の手残り
決済時には、売却代金からローン残債や売却諸費用などを精算します。
決済時の税引前手残り = 売却代金 − 決済時のローン残債 − 売却諸費用 − 売主負担となる精算等
さらに譲渡所得が発生する場合は、税金も考える必要があります。
つまり、
「半年間で現金がいくら増減するか」と「半年後に売ったときいくら残るか」は別々に計算する
方が分かりやすくなります。
仲介6,000万円・買取5,500万円なら、本当に500万円の差なのか
具体的にイメージしやすいよう、仮定の数字で比較してみます。
以下はあくまで計算方法を説明するための例であり、実際の査定価格・費用・売却期間を示すものではありません。
仮定する条件
| 仲介の想定成約価格 | 6,000万円 |
|---|---|
| 買取価格 | 5,500万円 |
| 現在のローン残債 | 3,700万円 |
| 仲介で売れるまで | 6か月と仮定 |
| 仲介の売却諸費用 | 220万円と仮定 |
| 直接買取の売却諸費用 | 60万円と仮定 |
仲介では6か月間保有するため、その間の賃貸経営も計算します。
| 6か月間の収支 | 仮定額 |
|---|---|
| 家賃等の収入 | +420万円 |
| 管理・修繕・借入利息・税金等 | ▲240万円 |
| ローン元金返済 | ▲120万円 |
| 6か月間の現金増減 | +60万円 |
元金を120万円返済したため、決済時のローン残債は3,580万円まで減ったものとします。
仲介で6か月後に6,000万円で成約した場合
決済時の税引前手残りは、
6,000万円 − 3,580万円 − 220万円 = 2,200万円
これに6か月間の現金増減+60万円を加えると、この仮定では合計2,260万円です。
今5,500万円で直接買取した場合
現在のローン残債3,700万円、売却諸費用60万円と仮定すると、
5,500万円 − 3,700万円 − 60万円 = 1,740万円
この例では、売却価格そのものの差は500万円ですが、税引前の比較では約520万円の差になります。
仲介で待つ6か月間の賃貸収支がプラスだったためです。
一方、この6か月間に外壁や設備等で200万円の予期しない修繕が発生したとすると、仲介案の実質的な差は約320万円まで縮まります。
逆に空室が改善し、予想以上に良いキャッシュフローが続けば、仲介で待つメリットが大きくなることもあります。
つまり、表面的な「6,000万円と5,500万円の差」だけでは、どちらが合理的か判断できません。
なお、この例では譲渡所得税等を含めていません。実際の手残りを比較する場合は、税務も別途確認する必要があります。
収益アパートの税金は「売った価格」と「買った価格」の差だけでは決まらない
アパートの手残りを考えるときは、譲渡所得に関する税金にも注意が必要です。
土地や建物を売却した場合、譲渡所得は基本的に、売却による収入から取得費や譲渡費用等を差し引いて計算します。
特に収益アパートでは、建物の取得費が購入時の建物価格のまま残っているわけではありません。
所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて取得費を計算するため、購入価格より低い価格で売却した場合でも、譲渡所得が発生することがあります。
そのため、仲介と買取の税引後手残りまで比較したい場合は、
- 購入時の売買契約書
- 土地・建物の取得価額
- 減価償却の状況
- 取得時・売却時の費用
- 所有期間
などを整理し、必要に応じて税理士へ確認することをおすすめします。
大きな修繕が近い場合は「待つことのリスク」が変わる
仲介で時間をかけて売るか、早めに買取で売るかを考える際に、大きく影響するのが修繕です。
- 外壁・屋根の修繕時期が近い
- 給湯器やエアコンの交換が続いている
- 給排水設備に不安がある
- 空室の原状回復費が大きい
- 共用部の設備更新が必要
といった状態であれば、販売期間中に追加支出が発生する可能性があります。
だからといって、売却前にすべて修繕した方がよいわけではありません。
修繕に500万円かけても、売却価格が500万円以上上がるとは限らないからです。
「修繕して仲介」「現況のまま仲介」「現況のまま買取」の3案について、必要な費用と想定手残りを比較した方が判断しやすくなります。
築古アパートの修繕と売却については、新潟市で築古アパートは売れる?修繕してから売るべきか、そのまま売るべきかでも整理しています。
空室が多いアパートでは「満室になるまで待つ」が正解とは限らない
空室が多いアパートでは、「満室にしてから売った方が高く売れるのでは」と考えることがあります。
入居率が改善すれば収益性が上がり、投資家からの評価が改善する可能性はあります。
ただし、満室にするために、
- 募集賃料を下げる
- 広告料を増やす
- フリーレントを設定する
- 原状回復や設備交換を行う
- 募集期間を長く取る
といった対応が必要になることもあります。
また、売却直前に賃料を大きく下げて入居を増やした場合、その低い賃料が新しい収益力として買主から評価されることもあります。
満室にすること自体を目的にせず、入居改善に必要な費用と期間、それによって売却価格がどの程度変わるのかを比較する必要があります。
空室の多いアパートについては、新潟市で空室が多いアパートは売れる?売却前に整理したい空室理由・修繕・管理状況でも詳しく整理しています。
仲介が向いているケース
次のような場合は、まず仲介で市場の買主を探す意味があります。
- 売却時期を急いでいない
- 入居状況・収支が比較的安定している
- 大きな修繕リスクが当面少ない
- レントロールや修繕履歴など資料が整理されている
- 融資を利用する買主にも検討されやすい物件である
- 市場で一定の需要を期待できる
- 時間をかけても価格を優先したい
仲介では、「高い価格を付けること」よりも、その価格を買主が納得できる情報を揃えることの方が重要です。
売却前に整理しておきたい資料については、新潟市でアパート売却のレントロールが重要な理由|査定価格・利回り・買主判断に影響する項目も参考にしてください。
買取を比較する意味があるケース
一方で、次のような場合は、仲介だけでなく現在の買取価格も確認しておく意味があります。
- 売却期限が決まっている
- 相続や資産整理で早めに現金化したい
- 空室が増えている
- 今後大きな修繕が想定される
- 管理負担を早く終わらせたい
- 金融機関への返済や資産組換えの予定がある
- 市場へ広く公開せず売却したい
- 現況のまま売却条件を整理したい
該当するからといって、買取を選ぶべきという意味ではありません。
買取価格をひとつの比較材料として持つことに意味があります。
仲介で半年販売した場合の見込みと、現在の買取条件を並べることで、「価格差に対して半年待つ意味があるのか」を具体的に判断できます。
アパートの買取では価格以外の契約条件も確認する
買取を比較するときは、提示価格だけでなく契約条件を確認する必要があります。
| 確認項目 | 確認したい内容 |
|---|---|
| 決済時期 | いつ売買代金を受け取れるのか |
| 融資条件 | 買主の融資利用の有無、融資不成立時の扱い |
| 修繕 | 売主側で修繕する部分があるのか、現況で引き渡せるのか |
| 契約不適合責任 | 引渡し後の責任範囲をどのように定めるのか |
| 境界・測量 | 測量や境界確認をどこまで行うのか |
| 入居者関係 | 賃貸借契約、敷金、滞納、保証会社等をどう引き継ぐのか |
| 管理会社 | 管理委託契約を継続するのか、解約するのか |
| 残置物・設備 | 現況のまま引き渡せる範囲を確認する |
「買取だから契約不適合責任は必ず免責になる」「買取なら必ず現況のまま売れる」「買取だから融資条件は付かない」というわけではありません。
どこまで売主が責任を負うのかは、実際の売買契約によって変わります。
価格だけではなく、契約条件まで含めて比較してください。
仲介と買取を比較するときに揃えたい資料
仲介の査定価格と買取価格をできるだけ同じ条件で比較するためには、同じ物件情報を各社へ提示することが重要です。
- レントロール
- 賃貸借契約書
- 固定資産税・都市計画税の資料
- 修繕履歴
- 現在の募集資料
- 管理委託契約書
- 滞納・保証会社の状況
- 建築確認・検査済証など建物資料
- ローン残高が分かる資料
- 過去の大規模修繕・設備更新資料
情報が不足していると、買主は分からない部分をリスクとして価格へ反映することがあります。
資料を整理することは、仲介で価格を説明するためだけではなく、買取価格を正確に検討してもらうためにも重要です。
竹鼻不動産事務所が仲介と買取を比較するときに大切にしていること
弊社では、アパートを売却したいというご相談を受けた場合に、最初から仲介または買取のどちらかへ誘導するのではなく、まず物件の収益性と売主様の事情を整理します。
仲介で時間をかけることで価格を追求する意味がある物件もあります。
一方で、空室、修繕、借入、管理負担、今後の資産組換えまで考えると、現時点で売却条件を確定させることに価値がある場合もあります。
特に地方の収益物件では、現在の利回りや積算価格だけではなく、買主の融資、将来の流動性、出口まで確認する必要があります。
比較したいのは、
- 仲介なら誰に、どの価格帯で売るのか
- 実際の成約価格をどの程度で想定するのか
- どのくらいの販売期間を見るのか
- その期間中のキャッシュフローはどうなるのか
- 修繕・空室リスクをどの程度見るのか
- 買取ならいくらで、どの条件で売れるのか
- 最終的な税引前・税引後の手残りはいくら違うのか
といった点です。
高い査定額を提示することではなく、売主様が比較して判断できる材料を整えることが、不動産会社の役割だと考えています。
まとめ:アパートの買取は「価格差」ではなく「手残りと時間」で比較する
新潟市でアパートを売却するとき、仲介と買取のどちらが合理的かは、物件と売主様の状況によって変わります。
仲介は、市場で投資家を探し、時間をかけて価格を追求できる可能性があります。
一方で、売却時期と最終的な成約価格は、買主が決まるまで確定しません。
買取は仲介の想定成約価格より低い提示になることがありますが、売却時期や契約条件を整理しやすく、空室・修繕・管理リスクを早い段階で切り離せる場合があります。
比較するときは、まず「売れるまでの保有中キャッシュフロー」と「売却時の手残り」を分けて計算してください。
そのうえで、
- 仲介の想定成約価格
- 実際の買取価格
- 売却までの期間
- 家賃収入と運営支出
- ローン残債
- 修繕・空室リスク
- 売却諸費用
- 税金
- 契約条件
を同じ条件で比較します。
「仲介なら高い」「買取なら早い」と単純化するのではなく、最終的な手残りと、その手残りを得るまでに負う時間・費用・リスクまで含めて判断することが大切です。
新潟市でアパートの仲介売却と買取を比較したい方へ
竹鼻不動産事務所では、新潟市の一棟アパートについて、仲介で販売した場合と買取した場合の条件を整理しながらご相談をお受けしています。
「買取価格を知りたいが、仲介で売った場合との差も確認したい」「修繕してから売るべきか迷っている」「空室が増える前に売るべきか判断したい」「売却後にいくら手元に残るのか確認したい」という段階でも問題ありません。
仲介・買取のどちらかを先に決める必要はありません。
現在の収益、修繕状況、借入残高、想定される買主、売却期間、契約条件を整理し、どの方法が合理的か比較します。
ご相談を希望のお客様は、新潟市のアパート売却ページよりお問い合わせください。
