新潟市で一棟アパートを売却するとき、「仲介で投資家を探すべきか、不動産会社に直接買い取ってもらうべきか」と迷うオーナー様もいると思います。
一般的には、
「価格を優先するなら仲介」
「早く売るなら買取」
と説明されることが多いです。
大きな方向性としては間違っていません。
ただ、収益物件の売却では、売却価格だけを比較すると判断を誤ることがあります。
仲介で販売している間も、家賃収入が入る一方で、借入返済、管理費、修繕、空室などが発生します。
また、購入希望者が見つかっても、融資条件や契約条件が合わなければ成約まで進まないことがあります。
一方、直接買取は仲介より価格が低くなることが多いものの、買主探索が不要で、売却時期や契約条件を整理しやすいという特徴があります。
つまり比較したいのは、
「仲介ならいくら、買取ならいくら」という価格差ではなく、「最終的にいくら残り、何か月かかり、どのような条件とリスクを負うのか」
です。
この記事では、新潟市のアパート・収益物件を売却するときの仲介と直接買取の違いを、価格、期間、販売中のキャッシュフロー、買主融資、契約条件、最終的な手残りまで整理します。
先に結論|仲介と買取は「何を優先するか」で選ぶ
| 比較項目 | 仲介 | 直接買取 |
|---|---|---|
| 売却価格 | 市場でより良い価格を狙いやすい | 仲介より低くなることが多い |
| 買主探し | 必要 | 原則不要 |
| 売却時期 | 買主が見つかるまで確定しにくい | 条件合意後は調整しやすい |
| 仲介手数料 | 媒介契約に基づき発生 | 買取会社が直接買主で媒介業者が介在しなければ通常は発生しない |
| 買主融資 | 投資家の融資条件が成約に影響しやすい | 買取会社の資金調達・社内承認等を確認 |
| 販売中の収支 | 売却まで家賃収入・運営費・返済等が継続 | 保有期間を短くしやすい |
| 契約条件 | 買主ごとに価格・融資・引渡し等を調整 | 直接協議しやすい |
| 向いているケース | 価格を優先し、販売期間を確保できる | 時期・確実性・手間を優先する |
どちらかが常に優れているわけではありません。
価格・期間・確実性・手間・最終手残りのどれを優先するかで合理的な選択は変わります。
「仲介」「直接買取」「買取保証」は分けて考える
売却方法を比較するときは、まず言葉を整理します。
| 方法 | 仕組み |
|---|---|
| 仲介 | 不動産会社へ媒介を依頼し、市場で投資家等の買主を探す |
| 直接買取 | 不動産会社等が自ら買主となって物件を購入する |
| 買取保証 | 一定期間は仲介で販売し、期限までに売れなければあらかじめ定めた条件等で不動産会社が買い取る仕組み |
この記事で「買取」と表現する場合は、原則として不動産会社等が直接買主になる直接買取を指します。
買取保証は仲介と買取を組み合わせた別の仕組みなので、条件・保証価格・適用要件を個別に確認する必要があります。
仲介査定額と買取提示額は、そもそも性質が違う
例えば、
- 仲介査定:6,000万円
- 直接買取提示:5,500万円
だったとします。
500万円の差がありますが、2つの数字は同じ性質ではありません。
| 価格 | 意味 |
|---|---|
| 仲介査定価格 | 市場へ出した場合に成約が見込まれると不動産会社が考える価格 |
| 売出価格 | 実際に市場へ提示して販売を開始する価格 |
| 成約価格 | 最終的に売主・買主が合意した価格 |
| 買取提示価格 | 不動産会社等が自ら購入することを前提に提示する価格 |
仲介査定6,000万円は、すでに6,000万円で買う人がいるという意味ではありません。
一方、買取提示価格も、物件調査、社内承認、資金調達、契約条件などによって最終条件が変わる可能性があります。
仲介では査定額の「実現可能性」、買取では提示額の「確定条件」を確認することが重要です。
なぜ直接買取は仲介より価格が低くなることが多い?
不動産会社等がアパートを直接購入する場合、取得後に、
- そのまま保有する
- 空室を改善する
- 修繕する
- 管理状態を改善する
- 契約関係を整理する
- 再販売する
などの事業を行うことがあります。
その過程で、
- 取得費用
- 借入金利
- 修繕費
- 保有費用
- 空室リスク
- 再販売リスク
を買取会社側が負担します。
そのため、一般の投資家へ市場で売却する場合より買取価格が低くなることが多くなります。
ただし、「買取なら市場価格の70%」のような一律の割合で決まるものではありません。
物件の収益性、土地価値、築年数、修繕、入居状況、再利用方法、出口によって差は変わります。
重要|仲介の販売期間は「コスト」だけではなくキャッシュフローで見る
アパートは、売却活動中も賃貸経営が続きます。
そのため、仲介と買取を比較するときに、
「仲介は半年かかるから半年分すべて損」
と考えるのは正確ではありません。
販売期間中にも、
- 家賃・共益費・駐車場収入
が入る一方で、
- 管理費
- 共用部費用
- 修繕・原状回復
- 空室損失
- 借入返済
- その他の運営支出
が発生します。
したがって比較するのは、単なる「保有コスト」ではなく、
販売期間中に実際いくらキャッシュが増えた、または減ったのか
です。
収益性の高いアパートなら、仲介で半年販売している間にもプラスのキャッシュフローを得られる可能性があります。
反対に、空室が多い、大規模修繕が発生する、返済負担が大きい物件なら、販売期間が長くなるほど資金負担が増える場合があります。
ローン元金返済は単純な「保有コスト」にしない
もう一つ注意したいのがローンの元金返済です。
元金返済は現金を減らしますが、その分、決済時の借入残高も減ります。
そのため、
「仲介で6か月かかるから、6か月分の元金返済も全部損」
と計算したうえで、さらに決済時の残債減少もプラス評価すると、二重計上になります。
仲介と買取を比較するときは、
- 販売期間中の実際のキャッシュフロー
- それぞれの決済日時点の一括返済額
をそれぞれ確認します。
元金返済と残債減少を二重に評価しないことが重要です。
仲介と買取の正しい比較式
最終的には、仲介・買取それぞれについて、概念的に次のように比較します。
仲介の場合
成約価格 − 売却時の費用 − 決済時の一括返済額 − 税金 + 販売期間中の実際のキャッシュフロー
直接買取の場合
買取価格 − 売却時の費用 − 決済時の一括返済額 − 税金 + 決済までの実際のキャッシュフロー
※実際には税金の支払時期、預り敷金等の承継、賃料・公租公課等の精算も確認します。
この2つを比べれば、単なる価格差より現実的な判断ができます。
仲介手数料も手残り計算へ入れる
仲介で売買契約が成立した場合、媒介を依頼した宅地建物取引業者へ仲介手数料が発生します。
仲介手数料には、宅地建物取引業法に基づく国土交通省告示で上限が定められています。
ただし、上限額がそのまま必ず請求されるという意味ではなく、実際の報酬額は媒介契約時に上限の範囲内で確認します。
一方、不動産会社が直接買主となり、売主との間に媒介業者が入らない直接買取では、売買の媒介自体がないため、通常は売主側の仲介手数料は発生しません。
ただし、買取会社との間に別の媒介業者が入る場合は別です。
買主融資の違いも「売却の確実性」に影響する
仲介でアパートを購入する買主は、金融機関の融資を利用することが多くあります。
購入申込みが入っても、
- 希望額まで融資が出ない
- 融資期間が短い
- 金利条件が合わない
- 必要自己資金が増える
ことで購入条件が変わる場合があります。
売買契約に融資利用を前提とした解除条件等を設ける場合は、その内容も確認します。
一方、買取会社も自己資金だけでなく、金融機関等から資金調達して購入する場合があります。
「不動産会社の買取だから資金面の不確実性はゼロ」と決めつけず、資金調達・社内承認・価格の有効期限等を確認する方が安全です。
購入申込みは価格以外の条件も比較する
| 比較項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 購入価格 | 最終的な売買代金 |
| 融資 | 融資利用の有無・契約条件 |
| 契約日 | いつ契約できるか |
| 決済・引渡し | 売主希望時期と合うか |
| 賃貸借関係 | 入居者・敷金等をどう承継するか |
| 管理契約 | 現在の管理会社をどうするか |
| サブリース | 契約関係をどう扱うか |
| 物件状態 | 修繕・設備不具合等をどの条件で引き渡すか |
例えば、6,000万円の申込みでも融資条件が不確定で決済まで長期間必要な買主と、5,900万円でも資金・契約条件が明確な買主では、売主によって評価が変わります。
最高価格の購入申込みが、必ずしも売主にとって最も良い申込みとは限りません。
直接買取なら契約不適合責任を負わなくてよい?
「不動産会社に買い取ってもらえば契約不適合責任を負わなくてよい」と説明されることがあります。
これは一律には言えません。
直接買取では、買主である不動産会社が建物状態や修繕リスクを確認したうえで、売主の責任範囲を契約で調整できる場合があります。
しかし、買取だから法律上当然に売主の責任がすべてなくなるわけではありません。
民法では、売主が担保責任を負わない旨の特約を設けた場合でも、売主が知りながら買主へ告げなかった事実等については責任を免れることができないとされています。
売買契約では、
- どの状態で引き渡すのか
- 既知の不具合を何まで告知するのか
- 修繕を誰が負担するのか
- 契約不適合責任をどの範囲で負うのか
を具体的に確認します。
なお、売主・買主が宅地建物取引業者か、一般事業者か、消費者かによって適用されるルールが異なる場合があります。
買取でも資料整理は必要
不動産会社へ買い取ってもらう場合でも、資料が不要になるわけではありません。
一棟アパートなら、
- レントロール
- 賃貸借契約書
- 敷金・保証金
- 修繕履歴
- 滞納状況
- 管理委託契約
- サブリース契約
- 借入・担保関係
- 土地・建物関係資料
などを確認します。
情報が不足しているほど、買主は不確実性を価格へ織り込む可能性があります。
仲介でも買取でも、情報を整理した方が価格と契約条件を比較しやすくなります。
仲介が向いているケース
- 売却期限を急いでいない
- 価格を優先したい
- 現在の収益性が安定している
- 大きな修繕が直近にない
- 販売期間中も十分なキャッシュフローが得られる
- 市場で複数の投資家を比較したい
- 買主が融資を利用しやすい物件
収益性・管理状態・融資・出口が整理されている物件なら、市場へ出して複数の買主候補を探す意味があります。
直接買取が向いているケース
- 売却期限が決まっている
- 早めに資金化したい
- 空室が多い
- 大規模修繕が近い
- 建物状態に不安がある
- 一般投資家では融資が付きにくい
- 販売活動を長期間続けたくない
- 価格だけでなく契約条件・確実性を重視する
特に販売期間中のキャッシュフローがマイナスになっている物件では、仲介と買取の価格差だけではなく、時間の価値まで比較する意味があります。
「まず仲介、期限を決めて買取を検討する」という方法もある
仲介と買取を最初から二者択一にする必要はありません。
例えば、
- 売却期限を決める
- 一定期間は仲介で市場反応を見る
- 期限までに条件が合わなければ買取を比較する
という方法もあります。
重要なのは、最初から、
- いつまで仲介で販売するのか
- どの程度の価格なら成約するのか
- 反響が弱ければ何を見直すのか
- どの時点で買取を比較するのか
を決めておくことです。
「とりあえず高く出して、売れなければいつか考える」ではなく、時間にも判断基準を設けることが重要です。
仲介と買取を比較するときに揃えたい8つの数字
- 仲介での現実的な成約見込価格
- 直接買取の提示価格
- 仲介で想定する販売期間
- 販売期間中の想定キャッシュフロー
- それぞれの売却時の資金支出
- それぞれの決済時一括返済額
- それぞれの概算税額
- 最終的な税引後手残り
さらに、
- いつ現金化できるか
- 買主融資の不確実性
- 契約条件
- 売却活動にかかる手間
も比較します。
ここまで並べて初めて、仲介と直接買取を同じ土俵で比較できます。
税金まで含めて最終手残りを見る
仲介と買取では売却価格が変わるため、税額も変わる可能性があります。
最終的には、
売却代金 − 決済時一括返済額 − 売却時の資金支出 − 税金 + 売却までのキャッシュフロー
をそれぞれ比較します。
ただし、税金は売却価格だけでは決まりません。
個人なら取得費・減価償却・所有期間等、法人なら税務上の簿価・法人全体の所得・欠損金等が関係します。
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査定価格だけで仲介・買取を選ばない
例えば、不動産会社Aから「仲介なら6,500万円を狙えます」、不動産会社Bから「5,800万円で買い取ります」と言われたとします。
仲介については、
- 6,500万円という価格の根拠
- その価格で買える投資家像
- 想定する買主融資
- 現在の競合物件
- 成約までの想定期間
- 反響が弱かった場合の見直し基準
を確認します。
直接買取については、
- 正式な提示価格か
- 追加調査で価格が変わる条件
- 社内承認・資金調達の状況
- 契約・決済時期
- 売主が負う責任
- 引渡し条件
を確認します。
仲介では「高い査定額」ではなく実現可能性を、買取では「早い」という説明だけではなく提示条件の確実性を確認することが重要です。
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まとめ|仲介と買取は「価格」ではなく「手残り・時間・条件」で比較する
新潟市でアパートを売却するとき、仲介と直接買取のどちらがよいかに一つの正解はありません。
仲介は、市場で投資家を探すことで、より良い価格を目指せる可能性があります。
一方で、販売期間、仲介手数料、買主融資、価格交渉等を考える必要があります。
また、販売中も家賃収入が入るため、期間が長いこと自体をすべてマイナスと考えるのも適切ではありません。
直接買取は、一般的には仲介より価格が低くなりやすいものの、買主探索が不要で、売却時期や契約条件を整理しやすいという特徴があります。
したがって比較するのは、
- 仲介なら現実的にいくらで成約できそうか
- 直接買取ならいくらなのか
- 売却まで何か月必要なのか
- その期間中にどの程度のキャッシュフローが得られるのか
- それぞれの決済時残債はいくらなのか
- 売却費用・税金を差し引くといくら残るのか
- どの契約条件なら納得できるのか
です。
「仲介の方が高いから仲介」「買取の方が早いから買取」ではなく、価格・時間・キャッシュフロー・確実性・最終手残りを同じ表で比較する。
それが、アパート売却で仲介と買取を選ぶときの合理的な判断だと弊社は考えています。
新潟市でアパートの仲介売却・直接買取を比較したい方へ
竹鼻不動産事務所では、新潟市のアパート・収益物件について、仲介査定額や買取価格だけではなく、販売期間中のキャッシュフロー、ローン残高、売却費用、税金、買主融資、契約条件、最終的な手残りまで整理しながら売却方法をご提案しています。
「できるだけ良い価格で売りたい」「売却期限が決まっている」「仲介と買取で実際どの程度手残りが変わるのか確認したい」といった段階でも問題ありません。
売却方法を決める前に選択肢を比較したい方は、新潟市のアパート・収益物件売却についてをご覧ください。