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2025.01.27 田舎の実家じまいのタイミングと注意点とは?具体的な方法も解説

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田舎の実家じまいのタイミングと注意点とは?具体的な方法も解説

実家が田舎にあると、現実的に引き継ぐのが難しく、実家じまいを考えている方もいるのではないでしょうか。

実家を出て都市部に居住を構えているなど、実家に戻れない理由は多くあります。とはいえ、田舎の実家を放置するわけにもいきませんよね。

この記事では新潟市中央区の竹鼻不動産事務が、実家じまいをするタイミングや3つの注意点、実家じまいの方法を紹介します。

田舎の実家じまいに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

実家じまいをしたほうがよい2つの理由

両親の他界後、自分を含め誰も実家を継がない(継げない)となった場合、多くの方は実家じまいを考えます。

都心部へ引っ越した結果、田舎の実家に戻れないなどの事情を抱えているケースもあるでしょう。このような場合、実家は空き家となって放置されます。

放置された空き家は行政指導の可能性があるため、いつまでも所有し続けるわけにはいきません。

ここでは、田舎の実家を手放したほうがよい2つの理由を紹介します。

  • 維持府の負担が大きい
  • 適切な管理が必要

それぞれ詳しく見ていきましょう。

維持費の負担が大きい

不動産を所持していると固定資産税が発生します。

固定資産税は毎年1月1日の所有者に納税義務が発生するため、田舎の実家を手放さない限り、永続的に負担しなければなりません。

田舎の実家を引き継いだものの、誰も利用しないでいると劣化が進むでしょう。建物や設備が劣化した場合、住まなくても大規模な修繕が必要です。

家屋を維持するためには、修繕の都度、数万円から数十万円の費用負担が発生します。

さらに、実家が田舎にあると交通費もかかります。

両親と過ごした田舎の実家を手放すことに罪悪感を覚えるかもしれません。ただ、維持するだけでも膨大な費用がかかると理解しておきましょう。

適切な管理が必要

建物は人の往来がなくなると劣化が早まります。そのため、実家を引き継いだなら、住まなくとも定期的な点検や管理に訪れる必要があります。

日常的に暮らさずとも、台風や地震などの災害対策はしなければなりません。また、空き巣に遭う可能性ももあるため、対策が必要です。

空き家となった実家の管理は想像以上に手間がかかります。近隣で生活しているなら対応できるかもしれませんが、遠方の場合は難しいでしょう。

実家の管理は体力的・時間的にも負担が大きく、自身の生活に与える影響を考えなければなりません。

実家じまいの2つのタイミング

実家じまいのタイミングは、相続が発生したときと親が存命中の2つがあります。

いずれのタイミングであれ、両親の生前に相続や実家じまいに関する意向を確認できると、手続きはスムーズに進められるでしょう。

家族間での話し合いによって、実家じまい後の家族関係も円満に保たれます。家族で協力して、心の余裕を持って実家じまいしましょう。

ここでは、相続発生時と親が施設に入居したときに取れる手段を紹介します。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

相続が発生したとき

空き家となった実家を相続すると、固定資産税に加えて維持管理義務などが発生します。

相続したものの、放置していると、家屋の老朽化や損による人的被害など、トラブルを引き起こす可能性があります。

維持管理が大変だからと空き家のまま放置すると、特定空き家に指定される可能性も。特定空き家に指定されると、固定資産税が増額されます。

相続した実家の利用予定がないなら、速やかな実家じまいが望ましいでしょう。

実家じまいすると、固定資産税の負担や管理の手間を減らし、トラブル回避が可能です。

親が残した実家を手放すのは、感情的に難しい決断かもしれません。しかし、相続時に実家じまいの検討をするのは、現実的で合理的な選択でしょう。

特定空き家とは

特定空き家とは、周辺環境に悪影響がある空き家を指します。

空き家が以下の状態の場合はとくに注意が必要です。

  • 放置すれば倒壊など保安上危険となるおそれのある状態
  • 放置すれば衛生上有害となるおそれのある状態
  • 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
  • 周辺の生活環境の保全を図るために放置が不適切である状態

なお、突然「特定空き家」に指定されるわけではありません。

まずは空き家の所有者に対し、状況改善の行政指導が行われます。行政指導に従わず、空き家を放置し続け、勧告されると特定空き家に指定されるのです。

勧告を受けると、住宅用地に適用される固定資産税の軽減特例が利用できず、納税額が大幅に増加します。また、義務違反によって、最大50万円の過料が科されるケースも。

特定空き家に指定されると、固定資産税の負担が重くなる点も覚えておきましょう。

親が施設に入居したとき

親が施設に入居すると、実家に住む人がいなくなり空き家状態となります。

健康面に不安がある場合、個人の住宅で暮らすよりも施設や高齢者向け住宅で暮らすほうが、安心感があります。

親が健康なときに実家じまいをすれば、片付けや処分もスムーズに進められるでしょう。親の意見を直接聞きながら進められるため、思い出の品や重要な物品を適切に処理、管理が可能です。

田舎の実家じまいをするときの注意点3つ

田舎の実家じまいには、都市部の実家売却とは違い注意すべきポイントが存在します。

とくに実家を売却するケースでは、都市部と比較して難易度が高いと言われています。

手放す前に不動産の専門家や地域情報のプロに相談し、計画することで、比較的スムーズな実家じまいができるでしょう。

ここでは、田舎の実家を手放す際に注意すべき点を3つ紹介します。

  • 売却しようにも需要が少ない
  • 建て替えできない可能性
  • 持ち家の人が多い

それぞれ詳しく見ていきましょう。

売却しようにも需要が少ない

実家が田舎にある場合、売却する際の障害に需要不足があげられます。

人口流出や少子化が進む地域では、住む人が減少し、比例して雇用も少ない状態です。このような状況のため、田舎から都市部へと人が流れます。地域全体の人口減少により、不動産市場も縮小しているのが一般的です。

人口が少ない地域で不動産を売却するのは難しい取り組みでしょう。

売却活動をしても、買い手が見つからない可能性が高く、多くの場合、売却価格も思うように設定できません。

実家じまいで田舎の実家を売却する際は、需要が限られていると理解し、対策や価格設定の見直しを実施しましょう。

建て替えできない可能性

田舎の家屋は、現在の建築基準法と異なる基準で建築されており、再建築不可の場合があります。

実家を解体し更地売却後の新築住宅建設では、現在の建築基準法に則って施工しなければなりません。そのため、建物面積などに制限がかかる可能性も。

また、実家の土地が市街化調整区域内になった場合、新築や建て替えをするには、地方自治体からの許可が必要です。建築や建て替えの際には、詳細な審査や許可手続きが求められます。

このような規制がつく可能性もあるため、建て替えを検討している買い手にとって大きな障害となるでしょう。

参考 既存不適格建築物について 国土交通省

参考 市街化区域と市街化調整区域〔区域区分〕 国土交通省

持ち家の人が多い

田舎は都市部と比べて親と同居している世帯が多く、持ち家率が高い傾向です。

持ち家が多い地域では、家を購入しようと考える人は少なく、一部の転居者のみが対象となります。地域内での家の需要が低いため、売却活動が難航しやすいでしょう。

雇用先も限られるため移住者の獲得も難しく、田舎での売却は都市部と比較すると難易度が高くなります。

田舎の実家じまいの方法4選

両親が実家を離れたあと、誰も実家に居住する予定がなければ、実家じまいを進めましょう。

親が存命中であれば具体的な実家じまいの方法を話し合い、手続きを進めるのがおすすめです。事前に話し合うことで、親の意向や親族の考えを共有できます。

現実的な方法は以下の4つです。

  • 売却する
  • 賃貸に出す
  • 解体する
  • 寄付する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

売却する

管理が難しく、相続財産が実家のみの場合は売却を検討しましょう。

不動産会社には購入希望者を探す仲介業者と、直接家屋や土地を買い取る買取業者があります。不動産会社によって、売却価格や売却までの時期に差が出るため、考慮が必要です。

時間がかかっても高値で売却したい場合は仲介業者に、早急に手間なく売却したい場合は買取業者に依頼するのがおすすめです。

どのような売却方法を取るにせよ、複数の不動産業者へ査定依頼すると、実家の適正価格を把握できます。

適切な売却で発生した売却金は相続時に均等に分けられるため、相続人同士の関係がこじれにくくなるでしょう。

また、空き家の維持管理や税負担から解放される点もメリットです。所有し続ける限り税負担は継続するため、実家に戻る選択肢がないなら売却して手放しましょう。

賃貸に出す

建物の状態がよいなら、実家の貸し出しを検討してみましょう。

実家を所有しつつ活用できるため、将来的に田舎に戻る予定がある場合におすすめです。

賃貸物件として活用するには、修繕が必要になるケースが多々あります。田舎の地域によっては需要が限られるため、検討が必須です。しかし、入居者が決まれば毎月決まった金額の家賃収入が得られるでしょう。

ただし、家屋の所有者であることには変わりなく、固定資産税や都市計画税を負担しなければいけません。

賃貸では入居者が生活を送るため、定期訪問での建物の維持管理は不要です。ただし、貸主として、借主に対しての維持管理責任がある点は覚えておきましょう。

ほかにも、入居者募集や賃貸管理を業者に委託する場合は、管理委託料が必要です。

解体する

両親が他界し誰も利用しなくなった実家は、解体によって、特定空き家に指定されるリスクをなくせます。

更地であれば駐車場や広告看板の設置など、賃貸運用も可能です。

ただし、更地にするには解体や撤去の手続きや費用が必要です。そのうえ、固定資産税の住宅用地特例を適用できないため、家屋があった頃より税負担が増える点には注意しましょう。

寄付する

すべての自治体で家屋や土地の受け入れを実施しているわけではありません。しかし、地域住民が集まりやすい場所に家屋があるケースや、充分な広さがある場合は地域施設として活用できる可能性も。

ただ、田舎では新たな施設の必要性が少ないため、受け入れ不可の通知が届くかもしれません。

寄付の申し出があった自治体にとっても、固定資産税や贈与税の負担は大きく、簡単に増やせない問題もあります。

寄付を検討する場合は、事前に自治体に確認し、受け入れの可能性や条件を把握してから進めるとよいでしょう。

参考 土地の寄付について 新潟市

実家じまいをせずに自分で住む際の基準

実家じまいの検討を進めるうちに、自分が実家を引き継ぎ住もうか悩むケースもあるでしょう。

このような場合は、実家の維持管理費に加え2つの基準をもとに、総合的な判断がおすすめです。

  • 近所付き合い
  • 交通や買い物などの利便性

田舎は都市部と比較して、地域の伝統や近隣住民との関係性に重きを置く傾向があります.

また、交通の便も悪いため、日常生活にどの程度影響を及ぼすか事前に確認しなければなりません。

それぞれの基準を詳しく見ていきましょう。

近所付き合い

実家を出て長い間、田舎を離れていた場合、地域独特の雰囲気や近所付き合いに苦労する可能性があります。とくに閉鎖的な地域では、地域の人々とのコミュニケーションが難しいケースも。

とはいえ、近年田舎や地方での暮らしを望んでいる方に向けた支援活動もあるため、閉鎖的な空気感は少なくなっています。

地域文化や雰囲気を理解し、家族全員が快適に過ごせるか考慮したうえで、田舎への移住を検討しましょう。

交通や買い物などの利便性

田舎は公共交通機関が限られ、車がないと日常生活が難しい場合があります。

通勤や買い物の際に長時間の移動を余儀なくされるケースも。

日常生活を送るうえで通勤や通学、日用品の買い物はある程度の便利さが重要です。近くにスーパーや医療機関がないと不便を感じるでしょう。

生活の質を維持するために、利便性を理解し、自分の生活にあった環境か見極める必要があります。

まとめ

田舎で実家じまいすると決めたら、事前確認は重要です。少なくとも、周辺環境や公共交通機関などの情報収集は必須でしょう。

地域の需要は近隣の不動産会社が詳しく理解しています。田舎だから実家は売れないと決めつけるのではなく、信頼のおける専門家や業者を上手に活用し実家じまいを進めましょう。

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