アパートを手放したい!売却の流れやタイミング、注意点を解説
夕方、管理会社から届いた一通のメールを開いたまま、しばらく画面を見つめてしまった。
今月も一部屋、空いたままらしい。
「このまま経営を続けるべきか、それとも売却か」
アパートオーナーの方と話していると、だいたいこの場面に行き着きます。数字を並べれば答えが出る、というほど単純でもないのが正直なところです。
この記事では、アパート売却を考え始めたときに、多くの方が実際に悩んでいるポイントや、判断のヒントになりやすい視点をまとめています。あくまで下書きです。少し余白のある原稿として読んでください。
売却を考える前に、そのアパートはどうやって手に入れたか
最初に確認したいのが、そのアパートの「成り立ち」です。
相続なのか、自分で購入したのか。ここで、売却の意味合いが少し変わってきます。
相続で引き継いだアパートの場合、「思ったより維持が大変だった」という声をよく聞きます。一方で、取得費がほとんどかかっていないため、売却時の心理的なハードルは低めです。
購入したアパートの場合は話が少し違います。ローン残高、返済期間、金利。頭の中で電卓が止まらなくなる方も多い印象です。売却額で完済できるのか、それとも持ち出しが出るのか。この一点で判断が揺れることもあります。
アパート売却前に、現実的に見ておきたいこと
売却の相談に来られる方と、だいたい同じ話をします。細かいテクニックより、まずここです。
ローン残高
当たり前ですが、意外と曖昧なままの方がいます。
「だいたいこれくらい残っているはず」という感覚と、実際の残高はズレていることも珍しくありません。
売却金額で返しきれない場合、その差額をどうするか。ここを曖昧にしたまま話を進めると、後で一気に現実が重くなります。
家賃の滞納や、少し気になる入居者
満室でも、滞納があると話は変わります。
買主は数字を冷静に見ています。利回り、入金状況、その履歴。
以前、「1戸だけだから大丈夫だと思っていた」というオーナーさんがいました。結果、買主の反応はかなりシビアでした。印象は、やはり大きいです。
所有期間と税金の話
税率の話になると、少し空気が変わります。
5年を境に大きく変わる、というのは多くの方が聞いたことがあると思います。
ただ、「いつ取得したか」を正確に把握していないケースもあります。相続の場合は特に。売却を考え始めた段階で、一度整理しておくと後が楽です。
アパート売却の流れは、意外とシンプル。でも…
流れ自体は、一般的な不動産売却と大きくは変わりません。ただ、入居者がいるという一点が、全体に影響してきます。
査定を取り、会社を選び、売却活動を進める。
その途中で、内見対応や条件交渉が入ってきます。
3か月ほど動きがない場合、「何が原因か」を一緒に整理する必要があります。価格なのか、会社の販売力なのか。その両方かもしれません。
売却にかかる費用は、あとから効いてくる
測量費、仲介手数料、税金。
一つひとつは理解していても、合計すると意外と大きく感じる方が多いです。
特に税金は、所有期間や状況によって印象がガラッと変わります。「こんなに違うと思わなかった」と言われることもあります。
売却を考えやすいタイミングについて
築年数が浅いうち
築20年以内、という話はよく聞きます。実際、そのあたりで動く方は多いです。
理由は一つではありません。価格、融資、買主の層。いくつかが重なります。
減価償却が終わる前後
帳簿上は黒字でも、手元にお金が残らなくなる。
いわゆるデットクロスをきっかけに、売却を考える方もいます。
このあたりは税理士と話しながら考える方が安心です。感覚だけで判断すると、後悔しやすい印象があります。
満室が続いているとき
満室は、やはり強いです。
退去は予測できません。だからこそ、今の状態をどう活かすか、という視点が出てきます。
アパートを少しでも高く売るために
劇的な裏技はありません。地味ですが、効いてくることがあります。
空室を減らす工夫
家電を置いたり、募集条件を少し調整したり。
「それだけ?」と思われることもありますが、印象は確実に変わります。
家賃を安易に下げない
下げるのは簡単です。ただ、その影響は売却価格に直結します。
別の方法がないか、一度立ち止まって考えてもいいかもしれません。
滞納は、できるだけ早めに
後回しにすると、売却時に一気に表に出ます。
管理会社と連携しながら、早めに対応することが結果的に楽です。
まとめに代えて
アパートを売るか、持ち続けるか。
正解は一つではありません。
ただ、「なんとなく不安」という感覚は、無視しないほうがいいと感じています。一度、数字と状況を整理するだけでも、見え方は変わります。
もし迷っているなら、専門家に一度話してみる。
それだけでも、次の一手が見えてくることがあります。

