コラム
2025.01.27 空き家の実家に残された仏壇はどうする?処分方法や注意点を解説

実家が空き家となった場合、残された仏壇をどのように処分すべきか悩む方も多いでしょう。
また、自宅へ引き取るにしても、どのような手順で進めればよいのか考えなければなりません。
この記事では新潟市中央区の竹鼻不動産事務が、仏壇の正しい処分方法や注意点を解説しています。
空き家となった実家に残された仏壇の取り扱いに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
仏壇処分は閉眼供養してから
仏壇は先祖を祀り、供養するための場所です。供養せずに処分するのは、先祖をないがしろにする行為にあたります。
魂が仏壇に宿ったままの状態では移動や処分はできません。仏壇を処分する際は、まず閉眼供養が必要です。供養によって先祖の魂を別の場所へ移動させ、空き家状態になってから処分しましょう。
ここでは、仏壇処分に必要な閉眼供養から、自宅で引き取る、もしくは処分する方法を紹介します。
閉眼供養
閉眼供養とは、仏壇に宿る魂を抜く儀式であり、地域や宗派によっては魂抜きや遷仏法要ともいいます。
仏壇を移動させる場合や処分する場合、どちらにおいても必要な儀式です。
仏壇の閉眼供養は、実家と付き合いのあった菩提寺に依頼します。
両親が大切にしてきた仏壇には、先祖の魂が宿っています。代々供養されてきた先祖への感謝の気持ちを伝えるためにも、閉眼供養は必ず実施しましょう。
位牌も処分するなら閉眼供養が必要
位牌も、仏壇とともに処分や移動する場合は魂抜きが必要です。
位牌には故人の戒名や俗名、亡くなった年月日、享年が刻まれています。そのため、位牌には故人の魂が入っているとされます。
供養の手順は仏壇と同様で、菩提寺に依頼しましょう。両親が懇意にしていた菩提寺が分からない場合は、仏具店や専門業者へ相談するのも1つの方法です。
引き取る場合|開眼供養
開眼供養とは、仏壇に魂を宿す儀式であり、魂入れや入仏法要ともいいます。
開眼供養によって、安置された仏壇や位牌に魂が宿るとされています。そのため、仏壇の設置が完了してから菩提寺に依頼しましょう。
また、仏壇を自宅で引き取りたいものの、置き場所がなく小型の仏壇を購入するケースでも同様の手順です。
閉眼供養後、最初に実施するのは仏壇の運搬です。仏壇はものによっては大きく、重さや破損リスクがあるため、個人の運搬には細心の注意が必要です。可能な限り専門業者や仏壇の移動に対応している引っ越し業者への依頼をおすすめします。
処分する場合|処分手続き
仏壇の処分方法は5つに分かれます。
- 菩提寺に引き取り依頼
- 最寄りの仏具店や葬儀屋に依頼
- 仏壇処分の専門業者に依頼
- 粗大ごみとして処分
- 不用品回収業者に依頼
仏壇の処分はすべて閉眼供養後に行います。
ここでは、それぞれの処分方法を詳しく紹介します。
菩薩寺に引き取り依頼
菩提寺によっては、仏壇の引き取りにも対応しているケースがあります。供養を依頼する際に、引き取りが可能か確認しましょう。
引き取り可能な場合、閉眼供養から依頼を一本化できるため、処分業者を探すなどの手間がかかりません。また、菩提寺は供養の専門家です。具体的な供養や処分方法を熟知しているため、安心して手放せるでしょう。
仏壇の引き取り可能な多くの寺院には、提携している回収業者があります。大半は値下げ交渉ができないため、費用が割高になるケースも。
仏壇処分にかける費用に余裕がある場合や、宗教感を重視する家庭にとっては菩提寺への引き取り依頼はよい選択でしょう。
とはいえ、多くの菩提寺が対応しているのは供養のみです。仏壇の運搬や処分には対応しておらず、閉眼供養後の処理は別途依頼が必要です。
最寄りの仏具店や葬儀屋に依頼
運搬費用の負担はありますが、仏具店の多くは仏壇の引き取りに対応しています。また、新しく小型の仏壇に買い替える場合は、古い仏壇の引き取りに対応しているか確認するのもよいでしょう。
仏壇の大きさによって処分費用は異なります。比較的小さいものであれば3万円程度、大きなものになってくると5万円程度必要です。店舗によっては処分費用として7万円ほどかかるケースも。
もちろん、店舗によって供養の範囲やサービス、価格が大きく変動します。依頼前に処分方法や、サービス内容など確認が必要です。
仏壇処分の専門業者に依頼
対応範囲は異なりますが、供養方処分まで対応している業者の場合、手続きを一本化できます。
仏壇を引渡し、供養完了後、業者側で処分可能な方法です。多くの場合、供養の様子を写真や動画で確認できるため、依頼前に聞いてみましょう。
実家の解体や売却が決まっているなど、早急な対応が必要なケースでの利用が向いています。
粗大ごみとして処分
粗大ごみの回収は行政サービスのため、ほかの方法と比較すると安価に処分できるでしょう。
粗大ごみとして処分する場合、自治体によっては大きさに制限を設けている可能性があります。仏壇の処分ができるとしても、解体しなければならないケースも。仏壇の解体が難しい場合は、ほかの処分方法を検討しなければなりません。
前もって、利用する地域のホームページや役所の担当者に、仏壇の処分方法を確認しましょう。
不用品回収業者に処分依頼
費用はかかるものの、比較的安価に処分したい場合、不用品回収業者へ依頼しましょう。
業者によっては寺院と提携しているケースもあるため、閉眼供養と仏壇処分をひとまとめにできます。
ただし、不用品回収業者は仏壇や供養の専門家ではありません。仏壇を一般廃棄物のように扱われるケースもあります。前もって供養していても、仏壇を乱雑に扱われることに抵抗があるなら、別の処分方法を検討しましょう。
仏壇供養にかかる費用
寺院への依頼 | 約1万円~5万円(お車代を合わせ、3万5千円~5万円) |
専門業者への依頼 | 約2万円~3万円 |
仏壇を供養するには費用がかかります。お布施という名目で、謝礼金を納めなければなりません。
供養の方法や地域、宗派によって費用は異なります。ほかにも、直接寺院に依頼したか、専門業者へ依頼したかによっても変わってくるでしょう。
とはいえ、インターネットの普及にともなって、供養費用の相場は固定化している状況です。
もちろん、固定化しているといっても、寺院の規模によって費用は変動します。事前に依頼を検討している寺院や業者へ確認を怠らないようにしましょう。
ただし共有の認識として、お布施に4万円や9万円を包むのは避けてください。「4」や「9」は「死」や「苦」を連想させるため、使用してはいけません。
空き家の仏壇を処分する際の3つの注意点
空き家の仏壇を処分する際には、故人や先祖はもちろん、残された親族を含め慎重な対応が必要です。
処分する前に、以下の3点について確認を怠らないようにしましょう。
- 家族や親戚に確認する
- 宗派のしきたりを把握する
- 仏壇の中身を整理する
では、注意すべき点をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
家族や親戚に確認する
仏壇の取り扱いは、1人で判断してはいけません。兄弟姉妹や親戚、家族がいる場合、トラブルを避けるためにも話し合いや確認は必要です。
1人で判断し、処分や手続きを進めたとなると、残された親族間でトラブルになりかねません。先祖代々の仏壇であれば大半の場合、兄弟や親族も大切に考えているものです。
実家が空き家となり、仏壇が残されていると分かった時点で、仏壇の取り扱いについて親族間で相談しましょう。仏壇の処理方法の共有が重要となります。
親族間の話し合いで、自宅に仏壇を引き取ると決まった場合は、家族の了承も必要でしょう。一緒に暮らす家族やパートナーに、事前に仏壇を引き取りたい旨の相談し、理解を得なければなりません。
実家の仏壇の処遇は周囲に相談しつつ、みなが納得する方法を見つけましょう。
宗派のしきたりを把握する
仏教の宗派によって、仏壇の処分方法は異なります。
実家の宗派が分からない場合、両親が懇意にしていた菩提寺が分かれば問い合わせるのが確実です。菩提寺も分からないなら、以下の方法を取って把握に努めましょう。
- 親戚に確認する
- 仏壇や位牌、墓の様式を確認する
これらの方法を取っても判明しない場合は、専門業者や仏具店、葬儀屋に相談するのがおすすめです。
浄土真宗の場合閉眼供養は不要
浄土真宗の教えは即身成仏です。亡くなった日に成仏する考えのため、仏壇には魂が宿りません。そのため、浄土真宗には魂の概念がなく、閉眼供養は必要ないとされています。
代わりに、入仏法要や遷仏法要と呼ばれる法要を行います。
入仏法要とは仏壇に新しく御本尊を迎える法要です。ほかの宗派でいう開眼供養にあたります。
遷仏法要とは仏壇の引っ越しや修復、処分する際に執り行われる法要です。こちらはほかの宗派の閉眼供養が該当します。
仏壇の移動や処分の際には、宗派共通して、御本尊や先祖の魂を移動させる必要があると覚えておきましょう。
仏壇の中身を整理する
仏壇の引き出しには大半の場合、線香やろうそくなど、祀る道具が入っています。しかし、中には相続に必要な貴重品がしまわれているケースも少なくありません。
仏壇は代々大切に扱うため、重要な書類がまとめられている可能性もあるのです。
造りによっては、彫り物が一部外せるようになっており、外すと隠し引き出しが現れるといった仏壇もあります。引き出しが分かりにくいため、専門家立会いのもと処分前に最終確認しましょう。
まとめ
実家が空き家となって残された仏壇を処分や移動させるためには、供養が必要です。閉眼供養後であれば、どのような処分方法を選んでも問題はありません。
後悔しないよう事前に家族や親族で処分方法の話し合いましょう。また、両親が存命中であれば、仏壇の処遇について要望を聞くのもおすすめです。その際に、宗派や菩提寺も確認しておきましょう。