新潟市中央区の地価動向を読む｜変動率から見える売り時・買い時の考え方

朝の新潟駅前を歩いていると、以前とは少し違う空気を感じることがあります。工事の囲いが増え、人の流れも変わった。足早に通り過ぎる人もいれば、駅を見上げて立ち止まる人もいる。その様子を見ていると、この街がゆっくり形を変えている最中なのだと実感します。

再開発が進む新潟市の中でも、中央区は特に動きが分かりやすいエリアです。JR新潟駅の再整備、JR上所駅の新設といった話題が重なり、「今どうなっているのか」を気にする声は、売却・購入どちらの相談でも増えています。

ここでは、国土交通省と新潟市が公表している令和5年度の土地公示をもとに、実際の取引現場で名前が挙がりやすいエリアを中心に、新潟市中央区の地価の動きを整理していきます。

新潟駅周辺は、数字以上に“動いている感覚”がある

最近よく話題に出るのが、新潟駅とその周辺です。再開発の進行とともに、人の流れや街の使われ方が少しずつ変わってきました。

通勤や通学、買い物のしやすさといった日常の利便性は、時間をかけて評価されていきます。その積み重ねが、地価にも反映され始めている印象です。売却を考える人にとっては、判断材料のひとつになりやすいエリアと言えそうです。

新潟市中央区弁天2丁目

【地価変動率】 5.93％（2024年1月現在）
【地価】 28万6000円／㎡
【坪単価】 約94万5000円／坪

駅周辺全体が上向く中でも、弁天エリアは特に伸びが目立ちました。学校やホテル、オフィスが混在し、時間帯によって街の表情が変わります。最近は「前より使いやすくなった」と感じる人も多いようで、そうした実感が数字に表れてきたようにも見えます。

新潟市中央区上所上2丁目

【地価変動率】 5.71％（2024年1月現在）
【地価】 11万1000円／㎡
【坪単価】 約36万6000円／坪

JR上所駅の開業とともに、注目度が一気に高まったエリアです。新しい住宅と昔からの家並みが混ざり合い、落ち着きと変化が同居しています。戸建てを検討する子育て世代や、駅近を条件に探すシニア世代など、相談内容にも幅が出てきました。

新潟市中央区万代2丁目

【地価変動率】 5.00％（2024年1月現在）
【地価】 31万5000円／㎡
【坪単価】 約104万円／坪

万代島の再開発が一段落したあとも、その影響は周辺に残っています。商業施設、オフィス、マンションが集まり、人の流れが途切れにくいエリアです。特にマンションは、今後も一定の需要が続くと見る人が多いようです。

古町周辺は、静けさの中に選択肢がある

一方、古町周辺は地価がやや下向きの動きを見せています。かつてのにぎわいを知る人ほど、変化を実感しやすいエリアかもしれません。

ただ、歴史ある街並みや生活動線そのものが失われたわけではありません。高齢化や空き店舗といった課題がある一方で、新たな計画が水面下で進んでいるという話も聞かれます。時間軸をどう見るかで、評価が分かれやすい場所です。

新潟市中央区古町通6番町

【地価変動率】 -0.98％（2024年1月現在）
【地価】 40万3000円／㎡
【坪単価】 約133万円／坪

新潟市の中心地という位置づけは変わりませんが、地価はわずかに下落しています。商業地域のため、住宅よりも店舗や事業用の相談が中心です。旧新潟三越跡地のタワープロジェクトなど、今後の動きに期待する声も一定数あります。

新潟市中央区窪田町3丁目

【地価変動率】 -1.03％（2024年1月現在）
【地価】 7万6900円／㎡
【坪単価】 約25万4000円／坪

下古町から海側に入った窪田町。空き家や高齢化の話題が出ることもありますが、西海岸公園が近く、学校も徒歩圏内です。海風を感じながら暮らしたい、という視点で見ると、印象が変わる人もいます。

地価が下がっている＝悪い、と感じがちですが、購入の立場では検討しやすくなる場面もあります。実際には、数字だけで決めず、暮らし方と照らし合わせて考える人が増えている印象です。

新潟市中央区の不動産は「数字の背景」をどう読むか

新潟駅周辺の再開発や新駅の誕生など、中央区では複数の変化が同時に進んでいます。地価の上昇は売却の後押しになり、下落は購入のきっかけになることもあります。

ただ、最終的な判断は地価だけでは決まりません。実際の相談でも、「今の生活に合うか」「数年後どうなりそうか」といった視点が、あとから効いてくるケースが多いようです。

新潟市中央区で不動産の売却や購入を検討している場合は、数字の見方を整理するだけでも、一度話してみる価値はあります。