リースバックのメリット・デメリット|「住み続けられる」だけで判断するとズレやすい話
リースバックの相談を受けていると、 最初に出てくる言葉はだいたい決まっています。
「家を売っても、そのまま住めるんですよね?」
間違ってはいません。 ただ、現場で何件も見てきた立場から言うと、
その一文だけで判断すると、後で噛み合わなくなることが多い というのが正直なところです。
この記事では、 リースバックの「良いところ」と「引っかかりやすいところ」を、 実際の相談現場の感覚で整理します。
リースバックのメリット|なぜ選ばれるのか
まずは、なぜリースバックが選ばれるのか。
① 売却後も、そのまま住める
これはやはり一番大きいです。
家を売っても引っ越さなくていい
この一点だけで、 精神的なハードルが一気に下がる方は多い。
特に、
- 高齢で引っ越しが負担になる
- 近所付き合いを変えたくない
- 周囲に売却を知られたくない
こういった事情がある場合、 このメリットはかなり大きいです。
② まとまった資金を一度で確保できる
リースバックは、 「自宅を現金化する手段」でもあります。
老後資金、事業資金、返済の整理。 理由は人それぞれですが、
短期間でまとまった資金が必要 という場面では、選択肢に上がりやすい。
ローンや借入と違って、 返済義務が増えない点を評価する方もいます。
③ 所有者としての負担から解放される
売却後は「借りて住む立場」になります。
つまり、
- 固定資産税
- 将来の大規模修繕
こういった所有者としての責任はなくなります。
「この家、あと何年もつんだろう」 という不安が軽くなる、という声も実際にあります。
リースバックのデメリット|ここを理解しないとズレる
ここからが本題です。
リースバックは、 メリットと引き換えに、確実に失うものもある。
① 売却価格は、相場より下がる
まずこれ。
リースバックは高く売る方法ではありません。
体感としては、
- 通常の仲介売却より安い
- 相場の7〜8割前後
このあたりに落ち着くことが多いです。
「住み続けられる」という条件を付ける以上、 買う側はリスクを織り込みます。
価格が下がるのは仕組み上、避けられない ここを受け入れられるかが分かれ目です。
② 家賃が、思ったより安くならない
売却後は家賃を払います。
この家賃、
周辺相場より少し高い
というケースは珍しくありません。
売却価格を抑えた分を、 家賃で回収する構造だからです。
「売却額」だけ見て判断すると、
10年、15年住んだときの総支払額 で後から効いてきます。
③ 「ずっと住める」とは限らない
これ、誤解が本当に多いです。
リースバック=終身居住 ではありません。
契約によっては、
- 定期借家で更新なし
- 更新に条件がある
ということもあります。
何年住めるのか ここを確認せずに進むのは、かなり危険です。
④ 買い戻しは「できたらラッキー」くらいで考える
「将来、買い戻せますよ」
この言葉はよく聞きます。
ただ、現実には、
- 価格が高い
- 期間が短い
- 条件が厳しい
ケースがほとんどです。
契約書に具体的に書いてなければ、期待しない これが一番安全です。
結局、リースバックが向いているのはどんな人か
現場で見ていて、 向いている人は割とハッキリしています。
向いているケース
- 今の家に住み続けることが最優先
- 多少安くなっても資金化したい
- 将来の管理負担を減らしたい
慎重になった方がいいケース
- できるだけ高く売りたい
- 長期の家賃負担が重い
- 将来の住まいがまだ定まっていない
リースバックは万能じゃない。 でも、条件が合えば強い。
まとめ|メリットとデメリットは必ずセットで考える
リースバックは、
「住み続けられる」という一点で見ると魅力的
です。
ただし、
価格・家賃・契約条件
この3つを同時に見ないと、 後でズレます。
「楽そうだから」 「今はこれしかないから」
ではなく、
他の売却方法と並べて比べた上で選ぶ。
それが、 リースバックを後悔しない一番の使い方です。



